2004年4月号掲載

中国古典「一日一話」 世界が学んだ人生の“参考書”

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著者紹介

概要

人間の知恵は、中国古典の中に出尽くしている ―― 。本書は、世に知られる中国古典12冊から15編ずつ、計180もの知恵と教えがぎっしり詰まった、人生の“参考書”である。長い時を経た今も、その教えは決して古びることがない。部下へのアドバイスに、自分への戒めに、また迷いが生じた時の道標にと、多様に活用できる。中国古典の入門書としても最適だ。

要約

現代に生きる“実学の書”

 先人の知恵に満ちた中国古典。人間学の真髄に迫った言葉の数々は、多くのことを教えてくれる。

老子――厳しい時代を生きる知恵

 戦乱の時代を生き抜いてきた民衆の知恵が凝縮されているのが、『老子』である。有名な「上善は水の如し(最も理想的な生き方をしたければ、水に学べ)」や、「敢えて天下の先たらず(無理に先頭に立たず、中程にいるのが一番安定した生き方だ)」をはじめ、次のような教えがある。

・功遂げ身退くは、天の道なり

 仕事を成し遂げた人は、身を引くことでその功績や名声を全うできる。いつまでも地位に恋々としていると、往々にして醜態をさらす羽目になる。

・人を知る者は智なり、自ら知る者は明なり

 「明」とは、「智」よりもさらに深いところまで洞察できる能力のこと。人を知る者は、せいぜい智者のレベルに過ぎないが、自分を知る者こそ明知の人である。つまり、自分を知ることは難しい、ということである。

・大国を治むるは小鮮を烹るが若し

 「小鮮」とは小魚のこと。小魚を煮る時、やたらかき回すと形が崩れ、味も落ちてしまう。国を治める時も、政府が何事にも干渉するのではなく、民間の活力に任せる方がうまく治まる。これは、企業の組織管理にもいえることだろう。

・善く人を用うる者はこれが下となる

 人の使い方の上手な人は、相手の下手に出る。さらに指導者の条件として、「優れた指揮官は武力を乱用しない。戦い巧者は感情に駆られて行動しない。勝つことの名人は力づくの対決に走らない」という。力に頼るようでは一流になれない。常に謙虚であれ、と戒めているのだ。

荘子――心を縛らずに大きく生きる

 『荘子』に、様々な地上の争いも宇宙の彼方から見れば、カタツムリ(蝸牛)の角の上の争いのようにちっぽけなものだと笑い飛ばした「蝸牛角上の争い」という寓話がある。『荘子』が説くのは、このような超越の思想である。

・鷦鷯、深林に巣くうも一枝に過ぎず

 みそさざい(鷦鷯)は林の奥深くに巣を作るが、必要とするのはたった1本の枝に過ぎない、という意味である。あれもこれもと欲張っていると、自分にとって一番大切な「深林の一枝」に気づかないまま人生が終わってしまう。

・時に安んじて順に処れば、哀楽入る能わず

・人みな有用の用を知りて、無用の用を知るなきなり

 「無用の用」とは、無用と思われているものこそ、実は有用であるということ。例えば「挨拶」は、それほど重要でないように思えるが、人間関係を円滑にするのに大変役立っている。「無用の用」が蓄積されてこそ、人間も大成されていく。

・人は流水に鑑みるなくして、止水に鑑みる

 流れる水はざわついているので、人の姿を映し出せない。静止した水は澄み切っているので、あるがままに人の姿を映し出す。人間も、澄み切った心境になれば、いかなる事態に遭遇しても、慌てることなく正しい判断を下すことができる。

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