2022.12.9

不確実な時代を生きる ~リスクの本質と意思決定の勘所

不確実な時代を生きる ~リスクの本質と意思決定の勘所
先日、仮想通貨の交換業大手FTXトレーディングが経営破綻しました。負債額は数兆円とも言われ、世界的な影響が懸念されています。この出来事のような重大かつ稀少な事象のリスクを計算したり、その発生を予測したりすることは、ほぼ不可能です。このことを、哲学者のナシーム・ニコラス・タレブ氏は「ブラック・スワン問題」と呼んでいます。
では、想定外の出来事が次々と起こる今日、仕事や人生において正しい意思決定を行うにはどうすればいいのか。今回は、その智慧を授けてくれる6冊を選書しました。
不確実性やリスクの本質を理解するとともに、自らの思考を誤った方向に導く“バイアス”を克服する。こうした力を身につければ、不測の事態に翻弄されず、適切な決断を下せるのではないでしょうか。

2017年9月号掲載

反脆弱性 [上] 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

リーマン・ショック、アラブの春、原発事故…。予測不能、不確実な世界を私たちは生きている。その不確実性を味方につけ、したたかに生き抜くためのカギが「反脆弱性」だ。「現代の予測、予知、リスク管理のアプローチを根底からひっくり返したい」という著者が、混迷を極める今こそ必要な、新たな“思考のものさし”を示す。

著 者:ナシーム・ニコラス・タレブ、望月 衛(監訳) 出版社:ダイヤモンド社 発行日:2017年6月

2021年12月号掲載

「不確実性」超入門

「不確実性」が今、世界を覆っている。新型コロナのパンデミック、株式相場の乱高下…。複雑化する現代社会では、思いもよらぬ出来事が起こる。これらに対処するには、不確実性を理解し、それがもたらすリスクを制御する必要がある。そんな「想定外の時代」の必須教養を、常にリスクと向き合う金融市場のプロが解説する。

著 者:田渕直也 出版社:日経BP・日本経済新聞出版本部(日経ビジネス人文庫) 発行日:2021年10月

2014年2月号掲載

シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」

「予測」が、本書のテーマ。金融市場、政治など、様々な分野における予測の失敗例・成功例に触れながら、情報洪水の中から、真実(シグナル)を見つけだすための理論と方法が説かれる。メディアによく登場する専門家ほど予測が当たらない、といった興味深い話も随所で紹介。著者は、2012年の米大統領選の結果を完璧に予測し、話題を呼んだデータアナリスト。

著 者:ネイト・シルバー 出版社:日経BP社 発行日:2013年12月

2018年1月号掲載

運は数学にまかせなさい 確率・統計に学ぶ処世術

私たちは時に予想外の出来事に遭遇する。コインを投げたら10回連続で表が出た、一晩に間違い電話が3回かかってきた…。こうした現象が起こる可能性を、肩の凝らないエピソードを交え論理的に解き明かす。その中で示される確率・統計の勘所は、賢い意思決定をし、不確実な世の中を上手に渡るためのヒントになるはずだ。

著 者:ジェフリー・S・ローゼンタール、中村義作(監修) 出版社:早川書房(ハヤカワ文庫) 発行日:2010年7月

2020年10月号掲載

The Intelligence Trap なぜ、賢い人ほど愚かな決断を下すのか

優秀なあの人がなぜバカな判断を下すのか? この謎を解くには、知性とは何かを正しく捉え直す必要がある。高い知力があっても、それを適切に使いこなす知恵 ―― オープンマインド思考や知的謙虚さがなければ思考は偏るだけだ。科学ジャーナリストが、賢い人ほど陥りやすい知性のワナを暴き、それを避けるためのヒントを示す。

著 者:デビッド・ロブソン 出版社:日経BP・日本経済新聞出版本部 発行日:2020年7月

2021年9月号掲載

賢い人がなぜ決断を誤るのか? 意思決定をゆがめるバイアスと戦う方法

“バイアス”。それは、私たちを合理的な判断から遠ざける心の働きだ。他者より自分の方が優れていると思う、意思決定を避けて現状維持を優先する…。こうしたバイアスは企業経営をも左右しかねない。どうすれば、それを克服できるのか。最新の行動科学と豊富な事例をもとに、バイアスと戦い、理性的な決断を下す方法を伝える。

著 者:オリヴィエ・シボニー 出版社:日経BP 発行日:2021年7月

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