2021.6.10

共感・幸福・人間性:これからの経営のキーワード

共感・幸福・人間性:これからの経営のキーワード
「人間の心の作用の本性は、他者に対する共感にある」
18世紀に活躍した“経済学の祖”アダム・スミスの言葉です。利益追求の効用を説いた彼ですが、その根底には「共感」という思想があったことがうかがえます。
そして21世紀、資本主義の終焉が喧伝される中で、新たな時代を切り拓くカギとなるのはどのような価値観なのか? 今回は、そのヒントを与えてくれる良書を選びました。
ご紹介する7冊には、共感をはじめ、「幸福」や「人間性」など、カネでは割り切ることのできない本質的なキーワードが散りばめられています。
世の中が激変する今日、経営の未来を考える上でこれらが参考となれば幸いです。

2015年12月号掲載

経済は、人類を幸せにできるのか? 〈ホモ・エコノミクス〉と21世紀世界

本書は経済と人類の幸せという、根源的な課題について考察した書である。今日、物質的には豊かになったのに、幸せを実感しにくい。人の幸福感は、何に左右されるのだろう。フランスを代表する経済学者が、歴史的な転換期を迎えた経済と人間の関係について、経済学はじめ様々な観点から解説する。ちなみに『21世紀の資本』を著したトマ・ピケティは、著者の教え子。

著 者:ダニエル・コーエン 出版社:作品社 発行日:2015年10月

2021年3月号掲載

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

「エコノミーにヒューマニティを取り戻す」。副題が示す通り、人が人らしく生きられる社会システムについて考察した書だ。低成長=社会の成熟であり、悲しむべきことではない。経済成長を追い求める従来のビジネスは、歴史的使命を終えたと指摘。資本主義の現状を分析した上で、未来への方向性、今後すべきことが示される。

著 者:山口 周 出版社:プレジデント社 発行日:2020年12月

2019年1月号掲載

ハーバード・ビジネス・レビュー[EIシリーズ] 幸福学

幸福な人は、不幸な人よりも、有能な働き手であり、意欲が高い ―― 。近年、世界的に盛んになりつつある「幸福学」の研究。本書は、この分野の名論文をまとめたものだ。価値観が多様化する今日、戦略性や論理性の他に求められる「感情的知性=EI」を柱にした、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌「EIシリーズ」の一書。

著 者:ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(編) 出版社:ダイヤモンド社 発行日:2018年11月

2020年8月号掲載

共感経営 「物語り戦略」で輝く現場

かつて、アダム・スミスは『道徳感情論』において、「他者に対する共感」の重要性を提起した。その共感の思想が、260年を経た今、改めて世界中の経営者の注目を集めている。「資本主義の再構築」に向けての議論の中で浮かび上がってきた共感。この思想を読み解きながら、いちはやく経営に取り入れている事例を紹介する。

著 者:野中郁次郎、勝見 明 出版社:日経BP・日本経済新聞出版本部 発行日:2020年5月

2020年10月号掲載

よきリーダーは哲学に学ぶ

経済合理性の追求が加速している今日、コマ扱いされ、追い詰められる労働者が急増している。これに対処し、職場に人間らしさを取り戻す処方箋を、ロンドン・ビジネススクールの教授らが示した。アリストテレスをはじめ偉大な哲学者の教えに学びつつ、個人の尊重と組織の利益が両立できる組織のあり方を提案する。

著 者:アリソン・レイノルズ、ドミニク・ホウルダー、ジュールス・ゴダード/デイヴィッド・ルイス 出版社:CCCメディアハウス 発行日:2020年8月

2019年8月号掲載

幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方

「幸福学」をご存じだろうか。幸せとは何かを科学的に検証し、実践に生かすための学問だ。その第一人者が従業員を幸せにする職場づくりを説く。今後求められるのは、「個人の幸せ」と「皆の幸せ」の両方を大切にする「ウェルビーイングな組織」。社員1人1人が輝きつつ協力し、社長と同じ気持ちで仕事をする組織が強いという。

著 者:前野隆司 出版社:小学館 発行日:2019年6月

2020年10月号掲載

中小企業の新・幸福経営

26年連続黒字を継続、無借金経営、離職率はほぼゼロ…。倒産寸前だった株式会社日本レーザーを優良企業へと導いた近藤宣之氏が、自らの経営ノウハウを語った。その中で氏が強調するのは、「人を大切にしたから業績が向上した」という事実。本書では、その経緯を明かすとともに、中小企業のための具体的な経営手法を公開する。

著 者:近藤宣之 出版社:日本経営合理化協会出版局 発行日:2020年6月

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