
ゴルフは「ビジネスの武器」になる
近年、株価や不動産価格の上昇が話題となっていますが、実は「ゴルフ会員権」(会員制ゴルフ場の利用権)の価格も高騰しているようです。
日本経済新聞によれば、2025年7月に関東圏におけるゴルフ会員権の平均価格が292万8000円と、15年ぶりの高値を更新。コロナ禍をきっかけにプレーを増やした個人が高額会員権に乗り換える動きや、法人の接待需要が背景にあるといいます(「ゴルフ会員権15年ぶり高値」/日本経済新聞2025年8月17日)。
ゴルフは昔から「社交の場」としての役割を担い、今もなお多くのビジネスパーソンが取り組んでいるスポーツです。達成感やストレス発散、健康への効果など多くの魅力があり、年齢や性別を問わず楽しめる「生涯スポーツ」でもあります。
さらにゴルフは、単なる趣味にとどまらず、人生やビジネスに役立つ知恵を教えてくれるスポーツでもあるのです。
そのことを物語形式で教えてくれるのが、ビジネス書の名著『1分間マネジャー』の著者ケン・ブランチャードと、元プロゴルファーのウォリー・アームストロングによる著書『マリガンという名の贈り物 “人生を変える究極のルール”』(創元社 刊)です。
今週は、この本の中に記された教えをいくつかご紹介します。
ゴルフと人生の共通点
本書では、主人公のエリートビジネスマン・ポールと90歳の老ゴルフコーチ(オールドプロ)の対話を軸に、ゴルフと人生の共通点、そして「マリガン(やり直し)」の大切さなどを描いています。
オールドプロによれば、ゴルフと人生には次のような共通点があるといいます。
- ・努力に見合ったよい機会を得ることがある
- ・努力しないでもよい機会を得てしまうことがある
- ・当然の結果としての失敗がある
- ・不公平に思える失敗がある
- ・ときには、実力以上にうまくやれることがあるが、その成功に甘えてはいけない
- ・ときには、力があってもうまくいかないことがあるが、それでも失敗に対処しなければならない
(『マリガンという名の贈り物』33ページ)
そして彼は、ゴルフと人生の両方で成功するためには、次の点が重要だと語ります。
もし人生とゴルフの両方で成功したければ、自分の価値というものを自分の実績や他人の意見に奪われないようにしなければならない。
人生でもゴルフでも、自分の価値観や自尊心が、自分がどれだけうまくできたかとか、周囲の人間から聞こえてくる賞賛や批判に左右されるようなことがないようにしなくてはならない。(中略)自分をしっかり見ていれば、他人の批判など気にならないものなのだ。
(『マリガンという名の贈り物』53~54ページ)
ゴルフをする際に、勝つことや他人の視線ばかりを気にしていると、純粋にゴルフを楽しむことができません。
また、この教えはビジネスパーソンがキャリアや人間関係を考えるうえでも深く響く言葉です。私たちは多くの場合、成果や他人からの評価に過度に左右されてしまいがちです。しかし、自分の価値を人に委ねすぎてしまうと、自己評価が不安定になったり、「人がどう思うか」を優先して行動したりしてしまう恐れがあります。
自分の価値を外部の評価に委ねず、自分自身の軸を持つことは、仕事をする上で欠かせない視点といえるでしょう。
「マリガン」がもたらす人生のヒント
ゴルフには「マリガン」というプライベートルールがあります。これは、ミスショットをペナルティなしで打ち直せる、「やり直しの機会」のことです。
ある日、オールドプロは主人公のポールとのゴルフで、「今日は好きなだけマリガンを使っていい」と提案します。ポールは最初こそ失敗を繰り返しましたが、マリガンによって気持ちが楽になり、自信を持ってプレーできるようになり、次第にミスが減っていきました。
その日のゴルフの後、オールドプロはポールにこう語りかけます。
マリガンがいつでも使えると思うから、いつもうまく打てたのだ。もし人生においても、好きなときにマリガンを使えると思ったらどうだろうか
(『マリガンという名の贈り物』127ページ)
もし毎日、無制限にマリガンが与えられるとすれば、人生はもっと自由になり、自信をもってより良い判断ができるようになることでしょう。
この考え方は、仕事やキャリア、人生設計にそのまま応用できる教訓です。過去の失敗を抱え込んだまま足踏みするのではなく、「やり直し=マリガン」の発想を持つことで、新しい挑戦に一歩を踏み出す勇気が生まれます。柔軟に軌道修正できることこそ、豊かな人生を築くカギとなるでしょう。
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『マリガンという名の贈り物』ではこの他に、1日をゆっくり始めることの重要性や、人生にも「キャディ」が必要であることなどを、わかりやすく解説しています。
本書を読むと、ゴルフが単なるスポーツを超えて、人生やビジネスにおける大切なことを教えてくれるものだということに気づかされます。ゴルフ好きの方はもちろん、そうでない方にもおすすめの1冊です。
(編集部・油屋)
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