2026年11月号掲載

マンション高騰の真実 都市部の「非居住化」が街を壊す

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著者紹介

概要

完売したマンションなのに人が住んでいる気配がない ―― 。今、都心部でそんな不安の声が聞かれる。この事態を招いているのが「住まない買い手」の存在だ。転売を繰り返し、価格高騰などの住宅問題を引き起こす。本書は、都市で広がる「非居住化」の実態とそれが社会に及ぼす影響を、データに基づく徹底調査で解明する。

要約

家が「住まない買い手」のものに

 新築の値が上がり、中古も値上がり、賃貸の家賃まで値上がり…。

 今、日本の住宅市場は「三重苦」の時代に入っている。特に、東京23区の新築分譲マンションの平均価格は急騰し、2026年には1億5000万円を超えた。なぜ、ここまで高騰しているのか。

 データを掘り下げていくと、単なるコスト上昇では説明しきれない答えに行き着く。それは「住む人」ではなく、「住まない買い手」が市場を席巻しているということだ。

購入者の構成は約10年で一変

 「住まない買い手」による購入は、実際にどの程度進んでいるのか。2025年と、その約10年前に建てられたマンションの新築時の全住戸の登記簿情報を比較し、購入者の構成変化を整理した。

 例えば、大手デベロッパーが手がけた千代田区の駅近のブランドマンションを調査した結果、2014年に建設されたBマンション(新築時価格:7000万円台~1.8億円台)の「自己居住者」(所有者の住所が当該マンション)の割合は83%だった。

 一方、Bマンション近くの2025年竣工のAマンション(同:1億4000万円~13億円)では、「非居住の個人」と「法人」が65%を占めていた。特に法人による購入割合は、Bマンションの2%に対し、Aマンションでは35%と大きな差がある。

 購入者構成の中心は、明らかに「住む人」から「住まない買い手」に移っていると言える。

購入法人の約7割は「顔の見えない法人」

 では、新築マンションをどのような法人が購入しているのか。法人の所在地を確認したところ、Aマンションでは首都圏(1都3県)の法人が全体の約7割を占めていた。大阪市、名古屋市などの地方都市に所在する法人は3割弱、外国に住所がある法人は4%だった。

市場価格を押し上げる短期転売

 このような「住まない買い手」の増加に加えて、短期的な転売目的による住戸取得が市場価格を押し上げている可能性が高い。

 実際、どのような転売が起きているのか。登記簿をもとに所有者の変遷を見てみると、前述のAマンションでは、新築からわずか6カ月の間に2戸の売買が完了していた。また、新築から1年もたっていない段階で販売中の住戸が複数ある。

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