2026年1月号掲載

BCGプライシング戦略 価格でビジネス・市場・社会を進化させる

Original Title :GAME CHANGER:How Strategic Pricing Shapes Businesses, Markets, and Society (2024年刊)

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著者紹介

概要

プライシングを最適化し、市場で戦うための方策を、BCG(ボストン コンサルティング グループ)のディレクター陣が解説。コストに利益を上乗せする「コスト・ゲーム」や、セグメント化された商品・サービスで顧客の選択を促す「チョイス・ゲーム」など、7つの枠組み・手法が示される。競争優位を築くための秘訣を様々な事例とともに説いた、価格戦略の教科書だ。

要約

プライシングの常識を再定義する

 価格とは、技術的な分析に基づいて自動的に、あるいは経営者の感覚的な意思決定によって決まるもの ―― 。そう捉えている人もいるだろう。

 この認識は近視眼的で、価格設定を正しく捉えたものではない。本来、価格設定は戦略的に行うものだ。それができれば、自社や業界で当然とされてきたプライシング・モデルが再形成され、競争優位性の向上や戦略の自由度拡大にもつながる。

7つの「プライシング・ゲーム」

 私たちは、プライシング戦略・価格設定を7つの明確なプライシング・ゲームとして定義した。それを整理したものが、下図の「プライシングの六角形(プライシング・ヘキサゴン)」だ。

 

 

 六角形の中の7つのプライシング・ゲームの配置は、価格設定の3つの情報源(コスト、競合、価値)、4つの経済的視点(価格弾力性、価格区分、ゲーム理論、需要と供給)、市場特性の間の相互作用を踏まえて位置づけている。

 各プライシング・ゲームの概要は、次の通りだ。

・バリュー(価値)・ゲーム

・ユニフォーム(一律価格)・ゲーム

 すべての顧客に透明性のある単一の価格を提示すること。売り手は、価格を下げれば、数量は上がるがマージンは下がるというトレードオフを勘案しながら、最適化した一律の価格で、利益を最大化させることを狙う。小売企業や消費財企業はこのゲームを選択することが多い。

・コスト・ゲーム

 コストに利益を上乗せした「コストベース型」で価格設定すること。売り手に必要なのは、最もコストが低い効率的な価格の実現という目標に向けてプライシング・モデルを作ることだ。産業財メーカーの多くはこのゲームを得意としている。

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