2025年12月号掲載
新・空き家問題 ――2030年に向けての大変化
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年2月10日
- 定価1,012円
- ページ数201ページ
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著者紹介
概要
現在、首都圏にある新築マンションの平均価格は8000万円超。庶民からは「高くて買えない」と悲鳴が上がる。しかし2030年以降、家が買いやすくなる!? 業界の第一人者が、住宅を巡る大変化を読み解いた。今後、増えてゆく空き家、高齢居住者の死去に伴う大量相続の問題について述べ、国の住宅政策の転換の必要性を訴える。
要約
激増する首都圏の空き家
2024年4月、総務省が5年に一度行う住宅・土地統計調査(2023年)の結果を発表した。
今回の発表で、全国の空き家数は900万1600戸に達していることがわかった。前回調査(2018年)比で51万戸、6.0%の増加だ。
住宅総数が6504万6700戸なので住宅総数に占める空き家の割合は13.8%、日本中の家の7軒に1軒が空き家になっている。
空き家の内訳
では、900万戸の空き家の内訳は、どのようになっているのか。
賃貸用空き家数は約444万戸。全体の49.3%、約半数が賃貸アパートやマンションの空き住戸だ。
一方、個人住宅空き家数は約386万戸(全体の42.8%)。前回調査から37万戸、10.6%の高い伸びを記録した。賃貸用空き家は、募集を行えば空きが解消する可能性がある。ところが個人住宅空き家は、所有者自ら居住せず、貸すことも売ることもしていない、言わば放置状態にある。
空き家はどこに多いのか
空き家はどの地域に多いのか。ワースト5は、徳島県、和歌山県、鹿児島県、山梨県、高知県。いずれも空き家率は20%を超えている。
ここから、空き家問題は地方の問題だと考えがちだが、実態は全く異なる。東京都の空き家率は10.9%と全国で4番目に少ないが、都内には数多くの住宅がある。実数でカウントすれば89万6500戸と、全国でダントツなのだ。
空き家数の実数ワーストランキングでは、他に大阪府や神奈川県といった、多くの人口を抱えた自治体名が並ぶ。空き家問題は、実は多くの都会人の住む地域においてごく身近な問題なのである。
個人住宅空き家激増の背景
個人住宅空き家は、近年なぜ多くなったのか。
国土交通省の調査によれば、空き家を所有することになった理由の約55%が相続による取得だ。