2025年11月号掲載
1メッセージ ――究極にシンプルな伝え方
著者紹介
概要
「いろいろ言っているが、何も言っていない」。著者は若き日、上司にこう言われ、苦しんだ。そして、苦労の末に体得したのが「1メッセージ」で伝えること。伝える内容を1つに絞り込めば、相手によく伝わるのだ。本書では、「人を動かす1メッセージ」づくりのカギとなる「焦点化」「先鋭化」「結晶化」の3つの技術を詳述する。
要約
1メッセージとは何か?
「1メッセージにしろ」
これは、戦略コンサルで、新人たちがもっとも受けるダメ出しである。
戦略コンサルでは、プレゼン資料は「1スライド、1メッセージ」で伝えることが求められる。
プレゼンだけではない、会議でもそうだ。クライアントから「どう思いますか?」と聞かれた時、いろいろと言ってはいけない。自分のメッセージを1つに絞って一文で伝えることが求められる。
メッセージとは「自分の答えを言葉にしたもの」
そもそも、メッセージとは何か?
会議で難しい問題を議論している時、問題への打ち手を誰かが提案する。その提案に対し、他の誰かが「それにはリスクがある」と意見を出した。
この意見は、誰にどんな意味があるのだろうか。
リーダーからすると、難しい問題だから、わざわざ皆を集めて議論している。打ち手があってもリスクがあるのは至極当然と思うだろう。提案した人も、リスクがあることは承知しているだろう。
従って、「それにはリスクがある」は、何か言っていそうで、何も言っていない意見といえる。
メッセージは、このような意見と対極にある、相手に意味のある意見だ。定義すれば、次の通り。
「メッセージとは、相手の論点に対する自分の答えを言葉にしたもの」