2025年9月号掲載
となりの陰謀論
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年6月20日
- 定価990円
- ページ数206ページ
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著者紹介
概要
選挙で投票されたはずの票が消えた。欧米では大量の移民が、白人にとって代わろうとしている ―― 。近年、耳にすることが増えた陰謀論について、気鋭のメディア研究者が解説した。陰謀論はなぜ生まれるのか? 人はなぜ根拠のない話を信じるのか? 米国のトランプ大統領の事例などを引きつつ、社会を蝕む病の正体に迫る。
要約
陰謀論とは何か
日々の多忙な現実を生きる中で、ふと政治家の不祥事を伝えるニュースが目に入る。そんな時、「政治家なんて皆悪党だ」と思うかもしれない。
こうした陰謀論的思考は、誰もが持っている。
陰謀論とは、世の中で起きている問題の原因について、不確かな根拠をもとに誰かの陰謀のせいであると決めつける考え方のことを指すものだ。
陰謀論はなぜ生まれるのか
では、陰謀論はなぜ生まれるのか?
この問いについては、2つの仮説が考えられる。
1つ目は、世界をシンプルに解釈したいという欲望を人間が持っているからだというものだ。
人間の生きる現実は複雑で、不確実なものだ。そして人間の精神は、こうした現実に耐えられるほど強くはない。言い換えるなら、現実に耐えられない人間の精神は、絶えず「意味」という緩衝材を必要とし、「物語」を求めてしまうのだ。
陰謀論者は、現代社会に起きる諸問題を善人たちの行動の「意図せざる結果」とは考えない。世の中の問題の背後には必ず悪人たちがいて、彼らの企みによって問題が起きていると考えたいのだ。
2つ目は、何か大事なものを「奪われる」感覚が陰謀論を誘発するというものである。
例えば、要人の暗殺やテロ、大規模な自然災害、そして戦争のような多くの人命が失われる出来事が起きると、必ず陰謀論が生まれる。かけがえのない人命が不条理にも奪われる経験は、多くの人に精神的ダメージを与えるからだと考えられる。
不正選挙陰謀論の衝撃
陰謀論は、近年のアメリカ政治を激しく揺さぶってきた。その1つが、ドナルド・トランプの不正選挙陰謀論だ。2021年1月6日、アメリカの連邦議会議事堂を、武装した暴徒たちが襲撃。議場にまで入り込み、施設内の備品を破壊したりした。