2025年8月号掲載
スタートアップの技法 新規ビジネスをスケールさせる「7つの視点」
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年5月26日
- 定価2,420円
- ページ数347ページ
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著者紹介
概要
スタートアップや新規事業を、大きく育てるための技法を説く。数々の事業立ち上げに携わった、元ボストン コンサルティング グループ日本代表の著者いわく、カギは「サイエンス」。すなわち「勝てるポジショニング、儲けのメカニズム、持続的成長のシナリオ」を徹底的に分析する。そのために必要な視点を、具体例とともに示す。
要約
新規ビジネスがうまくいかない原因
新規事業がうまくいかない。起業したはよいが、ビジネスが拡大しない…。こうした失敗の原因には「新規事業や起業はアイディアやイノベーションが重要で、やってみないとわからない」という思い込みがあるのではないだろうか。
確かにそうした「アート」的な側面はある。だが、失敗の本質は、きちんとすべき分析の視点や、再現性のある形に落とし込む「サイエンス」「技法」が欠けていることにある、と私は考えている。
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様々なスタートアップや新規事業開発の過程において、スケーラブルにならずに失敗してしまうポイントには共通項がある。例えば ――
勝てる市場とポジショニングが見つけられていない
・市場が魅力的かどうかの見立て不足
自社がターゲットとする市場の魅力度や成長余地を正しく見極められていないことがある。
投資家は、チャレンジするマーケットの魅力度を見てついてきてくれるため、マーケット規模の上限の見極めが不十分だと、スケールするまでの長い道のりで投資家を引きつけ続けられない。
・初期段階で固めたPMFから軌道修正しない
初期段階で確立したPMF(Product Market Fit)にこだわり続け、思い切った軌道修正やビジネスモデルの拡張・進化を怠ることもある。
初期PMFはあくまでスタート地点にすぎない。初期PMFに固執し続けてしまうと、マーケットの変化に追随できずに成長機会を逸してしまう。
儲けのメカニズムが見立てられていない
・マネタイズの検討の緩さ
自社のプロダクトが生む顧客価値に対して、どんな割合で取り分をいただくのか、それを最大化させるプライシングモデルはどういうものなのか。
これらの検討が足りないことによって、スケールする余地をみすみす逃しているケースも多い。
・ユニットエコノミクスのメカニズムの分析が甘い
売上高の成長がどのように利益につながるのか、そのメカニズムの分析が甘いことがある。つまり、売上高の成長とユニットエコノミクス(収益構造)の改善を適切に結びつけられていない。