2025年7月号掲載

貞観政要 リーダーシップの要諦

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著者紹介

概要

中国・唐の貞観時代(627~649)の名君・太宗と、その臣下が交わした対話をまとめた『貞観政要』。戦乱後の政治・リーダーのあるべき姿が説かれており、日本では徳川家康や渋沢栄一なども愛読していたという。そんな名著を抄訳で紹介。語られる教えは今にも通じるところが多く、リーダーを担う人の参考になるはずだ。

要約

現代日本語抄訳で読む『貞観政要』

 『貞観政要』は、政治のあるべき姿はどのようなものかについて、唐の2代皇帝・太宗と臣下たちとの間で交わされた対話集である ―― 。

リーダーシップを執る者の覚悟とは

 貞観(627~649年)の初年、太宗はそばに仕える家臣たちに、こう語った。

 「天下を安泰にしようと思うなら、まず、君主自らが行いを正しくしなければならない。

 私は日頃、こんなふうに考えている。人が身を破滅させるとすれば、その原因は外からやってくる要因によるものではない。すべては自分自身の欲望が禍のもとを作ってしまうのだ。もし、ご馳走ばかり食べて、音楽や女色にふけったとしたら、欲望は際限なく広がり、費やすお金も莫大な額になるだろう。そうなると当然、肝心の政治に身が入らなくなり、結局は人民を苦しめることになってしまう。だから私は、いつもこのことを肝に銘じ、決して自分の欲望が赴くままに行動することがないよう、努めている」

 すると諫議太夫を務める魏徴がこう言った。

 「かつて聖人とうたわれた君主たちは皆、そうした戒めを自分自身の問題として受け止め、同様の例を過去に見つけようとしました。

 例えば昔、楚の国の荘王は詹何という賢人を招いて、国を治める要諦とは何かについて尋ねました。これに対し、詹何は『まず君主が自らの身を正すことです。いまだかつて、君主の身が修まっていながら、国が乱れたという話を聞いたことがありません』と答えました。ですから、今、陛下が明かされたことは、昔の人々の考えとまったく同じなのです」

創業と守成はどちらが困難か

 貞観10年、太宗は家臣たちにこう語りかけた。

 するとまず、左大臣の房玄齢が答えた。

 「国家が創業しようとする時期には天下が乱れ、力ある者たちが各地で決起します。それらを攻め破って降参させ、戦いに勝利して、やっとのことで平定を手にしなくてはなりません。このように命をかけて難関に挑まなければならない点を考えるなら、創業の方が困難だと言えないでしょうか」

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