2025年6月号掲載

静かに分断する職場 なぜ、社員の心が離れていくのか

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著者紹介

概要

仕事は一生懸命やっている。だが、周囲の人と助け合うこともなければ、本音で語ることもない…。そんな「静かなる分断」が日本の会社に広がっている。背景には何があるのか? ベストセラー『不機嫌な職場』の著者が、バブルからコロナ禍に至る変化と、それによって職場に生じた問題を解説、分断を乗り越えるヒントを示す。

要約

仕事や会社から心が離れていないか?

 かつての日本企業は、活力のある人たちと、一体感のある組織によって支えられてきた。しかし今、人も組織も活力を失っている。

 米ギャラップ社が140以上の国で継続的に実施している「グローバル職場環境調査2024」が、それを象徴している。従業員の仕事や職場に対する積極性、熱意に関わる質問への回答をもとに「積極的にエンゲージメントしている」とされた日本人の割合はわずか6%。世界平均の23%を大きく下回り、世界最低水準だ。

エンゲージメントが低い原因

 エンゲージメント、すなわち「つながり」を感じるというのは、そこに愛着や思い入れという強い「感情」が生まれているということである。

 仕事を通じて、やりがいや成長実感を得られる。職場を通じて、安心感や支え合い感を持てる。そんな感情が自然に生まれる働き方、マネジメントがあるかどうかで、エンゲージメントという深いつながりを実感できるかが決まる。

 つまり、エンゲージメントはあくまで結果であり、エンゲージメントが生まれやすい関係性があるかに着目する必要がある。さらにその関係性が良い関係性かを判断するには、そこに良い感情の連鎖が起きているかを見ていくことが必要だ。

 日本人のエンゲージメントが低いのは、良い感情の連鎖が起きていないからだ。むしろ人を萎縮させる負の感情の連鎖が起きている。

閉じた働き方は負の感情の連鎖を生む

 負の感情の連鎖が起きている典型的な職場では、こんなことが起きている。

 目の前の仕事は一生懸命やっている。でも、仕事に埋没していくうちに、そこから抜け出せなくなる。余計なことをして、自分が追い込まれないように、目の前の世界の中だけで生きようとする。仕事で良いことがあっても、日々の仕事が流れていく中で、喜びを誰かと分かち合うこともない。

 そんな状況が続くと、誰も本音を言わなくなる。困ったことも、本当はこうしたいという意思も、誰も口にしなくなる。そして気づくと、この会社で働く意味や自分の中にあった志も見えなくなる。

仕事や会社との距離を置き始めた社員

 そんなモヤモヤとした感情を持ちながら働き続けてきた私たちの意識に、大きな影響を与える出来事が起きた。それがコロナ禍である。

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