2025年2月号掲載

「指示通り」ができない人たち

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著者紹介

概要

昨今の職場を悩ます「今イチ」な人材と、彼らをめぐる問題について心理学者が考察。指示通りのことがこなせない、メンタルが弱くすぐ心が折れる、自己評価がやたら高い…。周囲を唖然とさせる彼らの行動に、管理職はどのように対処すればいいのか。問題の根っこにあるものとその改善策を、様々な事例をもとに解説する。

要約

使えない人の3つの問題点

 今日の管理職は、かつてのような呑気な時代と違って、自分の部署を「成果を上げる集団」にしていかなければならない。そのような立場からすると問題になるのが、今イチ使えない人材だ。

 「客とのトラブルが絶えない」「何度教えても同じようなミスをする」…。こうした問題行動の原因は、おおまかに3つに分類できる。

①認知能力の問題

 認知能力とは、知的能力そのものを指す。この能力の中でも、仕事をする上では読解力が重要になる。読解力が低いと、仕事の要領や注意事項が書かれた文書を読んでも十分に消化できない。

 読解力は、文章を読む時だけでなく、人の話を聞く時にも重要な意味を持つ。コミュニケーションのすれ違いも、認知能力の乏しさによって引き起こされることがある。

 読解力を向上させる上で読書が効果的なのは、多くの研究で実証されている。ところが近年は、SNSやゲームに時間を取られて読書をする時間を持たない人が多い。その結果、読解力が乏しい人が増えているのは、危機的状況といえる。

②メタ認知能力の問題

 メタ認知能力とは、単純化して言えば、振り返る力のことだ。これは仕事でも勉強でも、何かで力をつけて成長していく際に必須の能力といえる。

 いくらモチベーションが高くても、自分の仕事能力のどこに弱点があるかがわからなければ、一向に改善されないため、成長できない。一方、常に自分を振り返る習慣があり、自分の弱点を補強していく人は、成長することができる。

③非認知能力の問題

 仕事能力を高めるというと、知的能力を向上させることを想像しがちだが、知的活動などの認知活動がうまくいくか否かには、非認知能力が深く関係している。非認知能力とは、自分をやる気にさせる力、忍耐強く物事に取り組む力など、学力のような知的能力に直接含まれない力のことだ。

 

認知能力の改善が必要な人

 いたってまじめなのに、指示したことがなかなかできない部下がいる。なぜ、そうなるのか?

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