2024年1月号掲載

「自営型」で働く時代 ―ジョブ型雇用はもう古い!―

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著者紹介

概要

「ジョブ型雇用」は時代遅れ!? 既定路線化しつつあるジョブ型導入の流れに、組織論の第一人者が異を唱えた。代わりに提案するのは、個人が自営業のように、まとまった仕事を1人でこなす“自営型”だ。1人1人の個性に合わせ、仕事の範囲を柔軟に変えられるこの働き方は、硬直的なジョブ型よりも日本企業に馴染むと説く。

要約

ジョブ型への幻想

 日本型の雇用システムと働き方が、急速なデジタル化の進展、グローバル化で機能不全を起こしつつある。とりわけ企業経営にとって深刻な問題は、労働生産性の低迷や国際競争力の低下だ。

 そこで注目されるようになったのが、いわゆる「ジョブ型」雇用である。

ジョブ型とは何か

 ジョブ型とは、欧米で一般的な職務主義を意味する。仕事上の役割、責任などを記した職務記述書に基づき、会社と社員が雇用契約を交わす。社員は記載された役割以上の仕事をする義務はない。

 2010年前後から、このジョブ型を多くの日本企業が取り入れるようになった。「メンバーシップ型からジョブ型へ」の移行が、もはや既定路線であるかのように喧伝されている。

立ちはだかる厚い壁

 ところが、いざジョブ型を取り入れるとなると、多くの厚い壁にぶつかる。

 まず「転職の壁」。ジョブ型雇用のもとでは、経営戦略などの変化により特定のジョブが不要になれば最終的に解雇される。しかし日本では解雇が厳しく制限されており、ジョブ型を導入しても職務内容の変更を伴う異動はなくせない。そもそも労働市場が十分に発達していない日本では、専門を生かすために転職するのは困難なのが現状だ。

 次に「既得権の壁」。定期昇給や年齢・勤続年数に応じた昇進など、年功序列制の恩恵を完全に捨てられる人はまだ少ないだろう。しかしジョブ型雇用では、特定のジョブの中でよりレベルの高い仕事に就かない限り、昇給や昇進はできない。

 さらに「人材育成の壁」。日本企業ではこれまで能力も適性も未知数の新卒を採用し、社内で一人前に育てあげてきた。ところがジョブ型では、能力を備えた者を採用するのが原則である。

ジョブ型は時代遅れ?

 つまり、労働市場や教育制度、社会慣行まで欧米と異なるところに、雇用システムだけ欧米式のものを持ち込もうとするところに無理があるのだ。

 しかし、そこにはもっと本質的な問題が横たわっている。そもそもジョブ型は現在の経営環境に合わないのではないか、という疑問だ。それはジョブ型の起源をたどれば容易に気がつく。

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