2023年9月号掲載

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

Original Title :THE UPSIDE OF YOUR DARKSIDE (2014年刊)

ネガティブな感情が成功を呼ぶ ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

怒りや恐怖、不安…。こうした感情はよくない、避けたい、と思う人は多いのでは? しかし、ネガティブな感情もまた大切。幸福のカギは、ポジティブとネガティブ、両方の感情を受け入れる「ホールネス(全体性)」を持つこと。よいことも悪いことも受け入れ、与えられた状況の中で生きることが、幸福な人生を導くという。

要約

幸福を求めるほど不安になる?

 世の中には、どうすればもっと幸せになれるかというアドバイスがあふれている。人に親切にする、自分が恵まれている点を数える、友人や家族と過ごす時間を増やす…。

 しかし、これらのお決まりのアドバイスは、誰にでも役に立つのだろうか?

多くの人は幸福になるための正しい選択ができない

 こんな調査結果がある。エモリー大学の研究者コーリー・キイスが、あらゆる年代のアメリカ成人3000人超を対象にした調査で、心理的に「繁栄」していると判断されたのは、全体のわずか17%だという衝撃的な結果を発表したのだ。

 なぜ、このような低い数字が出るのか。幸福感がこれだけ注目されているにもかかわらず、多くの人は幸福になるための選択が正しくできていないことになる。ほとんどの人が多かれ少なかれ見当違いの努力をしているということだ。

自分の将来の幸せは、正しく推測できない

 人は何かを決断する時、あとで自分がどんな気持ちになるかを推量し、それに基づいて判断する。例えば、ずっと夢見ていた郊外の家を買うとする。その時、頭にあるのは広々としたテラスでコーヒーを楽しむ自分の姿であって、職場に行くのに、これまでより30分も余計に時間がかかるようになることは、大した問題ではないと思っている。

 また、大きな昇進の機会を与えられたらさぞ幸せになると考えるが、実際には成功するために長時間働かなければならないので、家族との時間が犠牲になる。他にも人生にはいくつもの大きな決断がある。そういう時に自分の感情の動きをしっかり理解していないと、判断を誤ることになる。

 これは誰にも言えることだ。私たちは、よいことに関しては、ものすごくいい気分になるだろうと過大に期待する傾向がある。つまり、自分があとでどんな気分になるかに関して、人はたいてい判断を誤るのである。

 人は皆、自分が将来どれほどの幸せを感じるかを正しく推測できない。にもかかわらず、人生の重要な決断を、その誤った推測に基づいて行う。テレビを買うのも、引退後の生活を計画するのも、それがどのくらい楽しいかを適当に推測して決める。これでは幸福になり損なうのも無理はない。

幸福な人生のカギは「ホールネス(全体性)」

 生きる上で、拒絶、挫折、自信喪失などを経験することや、不愉快な人と接することは避けられない。だが、その解決策がポジティビティだとは、我々は考えない。また、できるだけ苦悩の少ない人生が健全な人生だとも思わない。実際には誰の人生にも、親を失う、離婚する、昇進の機会を逃すなどの辛い出来事は起こる。その時に辛さを受け入れようとしないと、それが苦悩に変わるのだ。感情的・身体的な不快感、人間関係における不快感から目を背けた時に、苦悩が生じる。

 だから、もっと幸福度を高めようと努力するよりも、ポジティブもネガティブも含めた広範囲の心理状態を受け入れる能力を身につけて、人生の出来事に効果的に対応することの方が大事だ。それが「ホールネス(全体性)」という状態である。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

メンタルが強い人がやめた13の習慣

エイミー・モーリン 講談社(講談社+α新書)

マインドセット 「やればできる!」の研究

キャロル・S・ドゥエック 草思社

心の休ませ方 「つらい時」をやり過ごす心理学

加藤諦三 PHP研究所

折れない心をつくる シンプルな習慣

渡部 卓 日本経済新聞出版社