2022年10月号掲載

危機からの脱出 Ⅰ

Original Title :OUT OF THE CRISIS

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著者紹介

概要

企業の失敗の原因は、競争激化、想定外のコスト増などではない。真因は“マネジメントの拙さ”。では、何をすべきか? 戦後、メイド・イン・ジャパン製品の品質向上に寄与した統計学者が、良きマネジメントの原則を示す。原著は1982年の刊行だが、時代を超え、心すべきことが説かれる。経営者必携の品質管理の古典である。

要約

欧米型マネジメントを変革するための14原則

 米国式マネジメントの変革が、今、求められている。それは、再建でも修正でもない。根底から作り変えた、全く新しい構造を求めるものだ。

 米国産業界の病と、その病が引き起こしている失業の根本的な原因は、トップマネジメントによる「マネージ」の失敗にある。通常、企業の失敗の原因とされるのは、想定外のコスト超過、過剰在庫の評価損、競争激化など様々あるが、本当の原因はマネジメントの拙さにあるのだ。

 では、変革のために何をなすべきか。それには「欧米型マネジメントを変革するための14原則」を理解して、実践することである。

 その原則とは、例えば ――

 

より良い製品・サービスの実現に向けて、目的の一貫性を創出せよ

 トップマネジメントに求められることは、会社が生き残り、雇用を守るために競争力を向上させるという一貫した目的を打ち立て、それに献身することである。社長が目先の利益に献身するのか、それとも一貫性のある目的の創出に献身するのかによって、長期的には大きな違いが出る。30年後も企業が存続することに比べたら、翌四半期の配当にどれほどの重要性があるだろう。

 一貫性のある目的を打ち立てるとは、例えば「イノベーションを起こす」といったことだ。そのためには「新しい製品やサービスに市場性はあるか」「新たな材料や新たな部品が要るか」「新たに必要となる技能はあるか」「再訓練すべき人はいるか」といった課題を検討し、その長期プランにリソースを割り当てることが欠かせない。

 イノベーションは未来を生きるための土台であり、トップマネジメントが揺るぎないコミットメントを明言せずして花開くことはない。この方針が組織の最上位から展開されてこないと、社員は自分たちが最善の努力をしたところで、本当に会社のためになるのかと感じる。

 

一番安い値段を付けた者が勝つという商習慣を終わらせよ

 我々には、競争力を高める以外に道はない。従って、品質・サービス・価格を「価格一辺倒の競争」に委ねたままにしておくことはもうできない。製品やサービスの均一性と信頼性について、「現在の要求水準に適っているのだから、いいではないか」と考えるのも、これからは許されない。

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