2022年10月号掲載

Slowdown 減速する素晴らしき世界

Original Title :Slowdown:The End of the Great Acceleration―― and Why It's Good for the Planet, the Economy, and Our Lives

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著者紹介

概要

技術変革は将来も急速に進む、経済成長は永遠に続く…。これまで、こうした考え方が、経済や政治、社会の大前提だった。だが今、あらゆることが“スローダウン”し始めている。そして、それは良いことだ。住まいも教育も改善し、過酷な仕事も減る。本書は、膨大なデータをもとに、「加速時代の終焉」と「世界の安定化」を示す。

要約

この先に待ち受ける未来

 いま、世界人口の増加ペースは「スローダウン」している。

 スローダウンしているのは、人口が増加する速さだけではない。生活のほとんどすべての側面がスローダウンしている。いま進んでいるスローダウンは、あらゆることが加速していくという前提に大きな疑問を投げかけるものであり、私たちは未知の領域に足を踏み入れている。

スローダウンという新しい流れ

 いまのものの見方や考え方は、「将来も技術変革は急速に進む」「経済成長は永遠に続く」ということが大前提になっている。

 最近の世代で進んだ「大加速化」は、私たちが暮らす文化をつくりだした。そしてそこから、進歩に対する独特の考え方が生まれた。

 ここでいう「私たち」とは、いま地球上で暮らしている高齢者の大多数のことだ。それは、健康状態や住居、職場の環境が、親や祖父母の世代よりもおおむねよくなった人たちである。そして、「子どもの世代は、いまの自分たちよりずっといい暮らしをするようにはならない」と考えるようになっている人たちだ。そう、スローダウンという新しい流れを感じ取っている人たちである。

 1世紀後には、1家族当たりの子どもの平均人数は2人を割り込むだろう。地球上の総人口は減少していき、それが新しい世界標準になる。

 人口の高齢化はこの先何十年も続くが、人間の平均寿命の延びがスローダウンするので、近い将来、高齢化の速さも緩やかになる。世界最高齢者の年齢はここ20年の間、上昇していない。スローダウンはすでに始まっている。

私たちは安定へと向かっている

 スローダウンが進むと、様々なことが大加速化の起こる前には当たり前だった状態に戻っていく。

 例えば、私は将来値上がりすると見込んで、借金して家を建てていたとしよう。だが、その後に人口が減ってしまうと、家が値上がりすることはたぶんない。私が将来、投資で大儲けすることはない。しかし、他の人が食い物にされることもない。ここは極めて重要な点だ。

 人口の減速が始まると、深刻な経済格差もなくなる。人口が収縮し高齢化していけば、お金を稼ぐのは、いまよりずっと難しくなる。さらに、物事が変化しなくなるので、人は賢くもなるだろうし、“最新”の消費財を次々に投入して、消費者をカモにするのも難しくなるかもしれない。技術革新がスローダウンすると、新しく生み出される革新的なモノやサービスが減るので、なおさらだ。

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