2022年7月号掲載

戦場としての世界 自由世界を守るための闘い

Original Title :BATTLEGROUNDS (2020年刊)

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著者紹介

概要

著者は、米陸軍に長年在籍し、トランプ政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めた戦略家。2020年に著した本書では、自らの経験、見識を基に“戦場としての世界”を語り、警鐘を鳴らす。冷戦後、アメリカは外交・安全保障政策で失敗を重ねた。その隙にロシアや中国、イラン等が台頭、自由世界が脅かされているという。

要約

アメリカの外交政策の誤り

 新たな時代の始まりの終わり ―― 。そのような局面に、我々は差し掛かっている。

3つの誤った思い込み

 1つ前の時代が終わった時、つまり共産主義者たちとの冷戦に最終的に勝利を収め、ソビエト連邦が崩れ去った時、アメリカをはじめとする自由で開かれた国々は自信に満ちていた。

 だが過度の楽観は、冷戦終結後の新しい時代について、3つの誤った思い込みを人々に抱かせた。

 第1は、冷戦における勝利は「歴史の終わり」を意味するという説を受け入れてしまったことだ。

 政治哲学者フランシス・フクヤマは歴史の終わりを、「人類の統治形態の最終形としての西側のリベラル・デモクラシー(自由な民主主義)が世界に普及した」と表現した。ただし彼は、民主主義を支持する方向で世界的にイデオロギー上の一致を見るという結末が決まったわけではない、と警告していた。ところが多くの人は、資本主義は統制的な社会に勝ったと考えた。

 第2に、多くの人々がこれまで国際関係を左右してきたルールは「新しい世界秩序」の下では意義を持たなくなったと決めつけたことだ。

 ジョージ・H・W・ブッシュ大統領は、「弱肉強食の論理ではなく、法の支配が国々の振る舞いを規定する新しい世界秩序」の到来を期待した。確かに、国家が集まり、共同で世界を統治すれば、競争の必要性は後退する。大国が競い合うという発想は過去のものになったと、多くの人は考えた。

 第3に、多くの人々はアメリカが1991年の湾岸戦争で高度な軍事力を発揮した結果、米軍はいかなる敵をも圧倒すると考えた。

地政学的な予兆

 例えば、独裁政治の復活。ロシアでは、ロシア連邦保安庁(FSB、ソ連時代のKGBの後身)の長官ウラジーミル・プーチンが大統領になった。

 この時、アメリカ議会の戦略アドバイザーは、プーチンは「独裁と国家統制という伝統的な路線への回帰」に強く魅せられている、と警告した。

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