2020年2月号掲載

サイコパス

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著者紹介

概要

従来、反社会的な人格というイメージが強かった「サイコパス」。近年、その正体が徐々に解明され、企業経営者や弁護士にもこうした気質の人が多いことがわかってきた。本書は、最新の脳科学を基に、サイコパスの特徴や脳の働きを詳述する。某国の大統領も、あなたの知人も、もしかするとサイコパスかもしれない ―― 。

要約

サイコパスはあなたの隣にいる

 ありえないようなウソをつき、常人には考えられない不正を働いても、平然としている。ウソが暴かれ、衆目に晒されても、恥じるそぶりさえ見せない。それどころか、「自分は不当に非難されている被害者」であるかのように振る舞う。

 昨今、こうした人物が世間を騒がせている。

 見過ごせないのは、この種の人間を擁護し、「決して悪い人じゃない」などと好意的な反応をする人が少なからずいることだ。そうした人たちは、きっと知らないのだろう。彼/彼女らが、高い確率で「サイコパス」だということを ―― 。

残虐な殺人を繰り返したサイコパス

 歴史的に、サイコパスは犯罪と結びつけられて語られてきた。

 では、典型的なサイコパスの姿とは、具体的にどんなものか。ここでは、代表的な犯罪者としてランディ・クラフトを紹介しよう。

 カリフォルニア出身のランディは、IQ129(東大生の平均が120)で、学校の成績もよく、大学卒業後はITコンサルタントとして働いていた。

 一方でランディは、連続殺人犯でもあった。夕暮れ時に自動車を運転しながら10代後半~20代前半の男性に狙いをつけ、拾った男性にクスリを混ぜた飲み物を飲ませて意識を喪わせ、同性愛の性行為を楽しむという性癖を持っていた。時には相手をレイプしたあげく、殺害して遺体を車外に投げ捨てることもあった。ランディはそうした残虐な殺人を12年間で64回も繰り返した。

 残虐な殺人を犯した翌朝も、彼は平気な顔をしてオフィスに出勤していた。この異様なまでの冷静さと、殺人鬼と好青年の間を平然と往き来できることこそ、サイコパスの特徴である。

アメリカでは全人口の4%

 ところが近年、脳科学の進歩により、サイコパスは必ずしも冷酷で残虐な殺人犯ばかりではないことが明らかになっている。大企業のCEOや弁護士など、大胆な決断をしなければならない職種の人々にサイコパスが多いという研究結果もある。

 カナダの犯罪心理学者ロバート・ヘアによれば、男性では全人口の0.75%がサイコパスだとされる。また、心理学者マーサ・スタウトは、サイコパスはアメリカの全人口の4%にも上るという。

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