2020年1月号掲載

経済成長という呪い 欲望と進歩の人類史

Original Title :LE MONDE EST CLOS ET LE DÉSIR INFINI

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著者紹介

概要

産業革命後、人々は物質的な豊かさを求め、経済成長を信奉するようになった。地球環境の危機が叫ばれる今も、富の追求がやむことはない。人は、無限の欲望という“呪い”から逃れられないのだろうか? フランスを代表する経済学者・思想家が、経済成長と人間の欲望を読み解く。現代資本主義に対する警鐘と提言の書。

要約

人間の欲望と経済成長

 イギリスの偉大な経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、1930年代初頭に、大胆にもこう断言した。

 ―― 産業が発達するペースから考えて、2030年には人々は1日3時間働くだけで暮らせるようになり、残りの時間は、芸術、文化、形而上学的な考察など、本当に重要なことに時間を費やすようになる。

 だが、残念ながら、現代社会は彼がその見通しを立てた時より10倍も豊かになったのに、我々は物質的な繁栄をこれまで以上に追求している。ケインズは我々の行動を完全に読み誤った。人間の欲望の驚くべき順応性を過小評価したのだ。

人間は欲しがる存在

 文芸批評家ルネ・ジラールは、こう述べる。

 「人間は、基本的生活にかかわる欲求を満たすと、あるいはそれ以前の段階であっても、激しい欲望をもつようになる。だが、何が欲しいのかは自分でもわからない。なぜなら、人間は欲しがる存在だからだ。人間は、自分にはないと感じる、自分以外の誰かがもっているはずのものを欲しがる存在なのだ…」

 事実、現在においても、数億人の人々が経済成長という神を崇め、その結果、地球環境が危険にさらされている。

経済成長は近代になって始まった

 経済成長 ―― 。これは、ほんの2世紀前に登場した新しいアイデアである。

 太古から18世紀の産業革命前夜まで、人類の収入は今日の貧困者と変わらない1日1ユーロ程度。1人当たりの収入が伸び続けるという意味での経済成長は、近代になってからのことだ。

 では、21世紀には、20世紀の倍の4%に達するのだろうか?

 

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