2019年12月号掲載

みんなにお金を配ったら ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?

Original Title :GIVE PEOPLE MONEY:How a Universal Basic Income Would End Poverty, Revolutionize Work, and Remake the World

みんなにお金を配ったら ベーシックインカムは世界でどう議論されているか? ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

今、世界的に注目を集めている貧困対策がある。名称は、「ユニバーサル・ベーシックインカム」(UBI)。国民1人1人に、毎月一定金額を給付するもので、貧困撲滅の強力な助っ人になりうるとされる。この制度を考察した書だ。近未来の仕事や格差との関連など、多面的な切り口から、UBIの可能性と問題点を掘り下げていく。

要約

UBIを推す様々な声

 こんな想像をしてみてほしい。

 あなたの銀行口座へ毎月、お金が振り込まれる。それで生活は維持できるが、あくまでぎりぎりの金額だ。家賃や食費、バス代をまかなえる程度。

 だが、使い道は自由だ。しかも、そのお金をもらうために、何かをする必要は一切ない。毎月必ず、受け取り続ける。年齢制限もない ―― 。

 この提案には、名前がある。「ユニバーサル・ベーシックインカム」(UBI)だ。

 ユニバーサル(普遍的、全員一律)と呼ぶのは、国民全員が同じように受け取ることを指している。ベーシック(基礎的)と呼ぶのは、最低限の生活が実現する金額であることを指している。そしてこのお金はインカム(所得)という位置づけであることを指している。

 この発想自体は非常に古く、過去500年の間、何度も議論が繰り返された。そして、貧困対策として現金の力に注目した研究が増えている昨今は、驚くほど存在感が高まっている。

 なぜ、そのような仕組みが必要なのか。

 UBIについては、政治哲学、勤労意欲に関する研究など、多彩な領域から声があがっている。

ロボットは自ら進化するようになった

 フェイスブック社に、「フェイスブックAIリサーチ」というチームがある。投稿される画像の顔を認識しタグをつける、顧客の苦情に対応する、といった役割を自動で担うソフトウェアを開発する人工知能の専門家集団だ。彼らは、交渉に対応できる自動チャットボットの開発に取り組んでいる。

 このチャットボットは、最初は単純で定型的な交渉に対応していた。要求を2種類示すと片方を受け入れるといった具合だ。その後、多くのデータを解析し、よい解決策を独自に判断する能力を向上させ始めた。言い換えれば、交渉についてAIが自主学習をしていったのだ。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

人新世の「資本論」

斎藤幸平 集英社(集英社新書)

日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方

鈴木貴博 PHP研究所(PHPビジネス新書)

スモール・イズ・ビューティフル 人間中心の経済学

E・F・シューマッハー 講談社(講談社学術文庫)

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論

デヴィッド・グレーバー 岩波書店