2019年7月号掲載

トップエコノミストが今を読み解く プラットフォーム経済圏 GAFA vs. 世界

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  • 著者
  • 出版社
  • 発行日
    2019年5月27日
  • 定価
    2,420円
  • ページ数
    206ページ

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著者紹介

概要

無料のネットサービスを武器に巨利を得る、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)。だが、これらプラットフォーマーの強さに陰りも見える。プライバシー侵害、フェイク(偽)ニュースの拡散などを懸念する各国政府が、規制を強めているのだ。このビジネスモデルの抱える課題について、トップエコノミストが読み解く。

要約

経済学で読み解くプラットフォーマー

 GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)。これら「プラットフォーマー」が提供するウェブ閲覧・検索、SNS、地図検索などのネットサービスは、日常生活に深く浸透している。

 その多くは無料で利用できる。だが、ユーザーは知らず知らずのうちに大きな“対価”を払っていることが次第に明らかとなってきた。

 その1つは、プライバシー侵害だ。ユーザーの個人データが本人の知らないところで広告などに利用されている。さらに、2016年の米大統領選挙では、SNSを通じて世論が誘導されるなど、民主主義が根幹から揺るがされる懸念も噴出した。

 そうした動きを受け、プラットフォーマーのビジネスに対する規制が各国で高まっている ―― 。

無料サービスのからくり

 プラットフォーマーが我々に提供する様々なサービスは、伝統的に民間企業が消費者に提供してきたものとは、かなり異質なもののようにも見える。それは例えば、無料でのサービスの提供だ。

・補完財が謎を解くカギ

 無料サービスが、なぜビジネスとして成り立つのか。それは、「補完財」というミクロ経済学の概念を使って説明することができる。

 補完財とは、ある財と同時に需要される傾向が強い財のことを指す。例えば、パンとジャムだ。パンの価格が下がるとパンの需要は高まるが、その場合、ジャムの価格は変化しなくても、ジャムの需要も高まることになる。

 プラットフォーマーが無料で提供する財・サービスが、他の財・サービスへの需要を高め、利益の増加をもたらすことから、無料サービスを提供することが合理的な企業行動になるのである。

・データ利用も無料サービスを可能に

 プラットフォーマーのサービスでは、ユーザーによって大量の情報、データが作られている。例えば「ネットショッピングでの商品の購入履歴」「SNS上で投稿されるコメント」などだ。

 プラットフォーマーは、これらを自らのビジネスに利用できる。例えば、ネット販売で消費者に提供する商品を決める際の材料にできる。また、個人データを他企業に販売することもできる。

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