2019年4月号掲載

論語のこころ

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著者紹介

概要

孔子やその弟子たちの言行を収めた『論語』。本書は、中国哲学史の碩学が、時代を超えて読み継がれる同書から120余の章段を選んで体系化し、平易に解説したものである。何よりも徳性(人格や人間性など)が重要、老年期には「得(物欲)」に用心せよ、等々。基本的道徳が軽視されがちな今日、『論語』の教えから学ぶことは多い。

要約

『論語』の名句

 『論語』は、人間をありのままに見透し、人間にとって幸福とは何かという視点に基づいて、道徳を論じた書である。その内容は決して難しくないし、実行できるものばかりである。

名句の前後にあった物語が削ぎ落とされた

 『論語』の大部分は、孔子と弟子、あるいは弟子たちの間の話が語り継がれ、書き継がれたものだ。孔子の頃は話し言葉による表現が中心だったから、文献の形式は対話・語録・講義といった感じのものである。

 残念ながら、『論語』の記述には、その場の前後の話が時間とともに削ぎ落とされたものが多い。

 例えば、「過ちて改めず、是を過ちと謂う」という言葉。この名句の前後に、何か物語があったはずである。それがどのようなものであったかは、今のところわからない。

 しかし、このことは逆に、その名句が生まれた文脈とは関係なく、自由にその句だけを使えることとなり、適用範囲が広くなる。

誤用される名句・名言

 短い名句が生まれた前後の事情が不明なので、真の意味は何だったか、後世の我々は誤解しているかもしれない。というのも、前後の事情がわかっている時でも誤用することが多いからだ。

 例えば、「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」。これは「オーバーなこと(過ぎたる)はだめだ(及ばず)」という意味で使われることが多い。

 しかし、それは誤用である。これは「過ぎたる(過剰)は及ばず(不足)と同じであって、両方ともよろしくない〔だからバランスのとれた中庸がよい〕」という意味である。けれども、「及ばず」という言葉が、不足という事実を指すのではなく、劣っているという価値を示すと思う人が多いので、誤用が通用している。

 

自分の幸せだけでいいのか

 孔子は人間を根底から見すえた人である。その人間観は、冷徹とさえいってよい。

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