2019年3月号掲載

FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

Original Title :FACTFULNESS

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著者紹介

概要

「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている」。そう考える人は多いのでは? だが、実際は違う。少しずつ世界は良くなっている。本書は、こうした思い込みをもたらす人間の様々な「本能」を明らかにするとともに、データを基に世界を正しく見る習慣、「ファクトフルネス」について説く。

要約

本能とファクトフルネス

 「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ」

 あなたは、こんな先入観を持っていないだろうか。メディアでもよく聞く話だ。私はこれを「ドラマチックすぎる世界の見方」と呼んでいる。

 実は、この見方は正しくない。世界の大部分の人は中間所得層だ。極度の貧困状態ではない。課題は山積みだが、人類が進歩したのは間違いない。これが、「事実に基づく世界の見方」だ。

 ではなぜ、ドラマチックすぎる世界の見方をしてしまうのか? その原因は脳の機能にある。

 人間の脳には、私たちの先祖が狩猟をするために必要だった本能が組み込まれている。危険から逃れるために、一瞬で判断を下す本能。唯一の有効な情報源だった、うわさ話やドラマチックな物語に耳を傾ける本能…。

 これらの本能は数千年前には役立ったが、今は違う。瞬時に何かを判断する本能とドラマチックな物語を求める本能が、ドラマチックすぎる世界の見方と、世界についての誤解を生んでいる。ドラマチックなものを求めすぎると、ありのままの世界を見られず、何が正しいのかもわからない。

 こうした本能を抑えるには、「ファクトフルネス」という習慣を毎日の生活に取り入れるとよい。訓練を積めば、事実に基づいて(ファクトフルに)世界を見ることができるようになるはずだ。

分断本能

 人は誰しも、様々な物事や人々を2つのグループに分けたがる。そしてその間には、埋まらない溝があると思い込む。これが「分断本能」だ。

 世界の国々や人々が「金持ちグループ」と「貧乏グループ」に分断されているという思い込みは分断本能のなせるわざだ。だが、世界が分断されていたのは過去の話だ。「西洋諸国」と「その他の国々」、「先進国」と「途上国」の間にあった分断はもはや存在しない。