〔エッセンシャル版〕 行動経済学

Original Title :BEHAVIOURAL ECONOMICS:A Very Short Introduction

コミュニケーション・心理学経済・経済学
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著者紹介

概要

ノーベル経済学賞の受賞者が続き、近年、注目される「行動経済学」。これは、従来の経済学に心理学、社会学、神経科学などの知見を結びつけ、経済行動を考察する学問だ。人の合理的な意思決定を阻むバイアス、それらを逆用した政策…。本書は、行動経済学のポイントをわかりやすく説く。全体像を知る上で最適な1冊だ。

要約

経済学と行動

 今、行動経済学に注目が集まっている。この分野の新たな書籍が刊行され、政策立案者は行動経済学の知見を政策に取り入れようとしている。

 なぜ、これほど関心を集めているのか。

行動経済学の魅力

 行動経済学が面白いのは、その基本原則が多元的で多様なためである。従来の経済学に、心理学、社会学、神経科学、進化生物学など様々な学問領域の知見を結びつけている。学問の垣根を超えて知識を融合させることで、経済行動や金融行動に対する理解を深めているのだ。

 行動経済学は、私たちの意思決定は利益とコストの合理的計算だけで成り立っているのではなく、社会的・心理的要因にも影響されることを受け入れ、経済学の原則に広がりを持たせた。

行動経済学における合理性

 伝統的な経済学者は、人間を合理的な生き物とみなす。しかし、行動経済学者は人間をとことん合理的な生き物とは考えない。むしろ、合理的意思決定の限界に注目する。

 そのよりどころとなっているのが、ノーベル経済学賞の受賞者ハーバート・サイモンの発想だ。サイモンは「限定合理性」という概念を提唱した。

 限定合理性とは、意思決定には様々な制約があるという考え方だ。例えば、記憶力や数的処理能力には限界がある。このため情報を処理する時間や他の選択肢を検討する能力が不足し、時には特定の選択肢を選ばざるを得ない状況に陥る。

 同じくノーベル経済学賞を受賞したバーノン・L・スミスは「環境合理性」を提唱した。合理性は私たちが置かれた状況や場面に左右されるので、変化しやすいという仮説だ。

 ゲルト・ギーゲレンツァーは、私たちは「現実的合理性」で動いていると主張する。現実世界では、多くの情報を集めたり、複雑な意思決定のルールを当てはめたりする時間はない。私たちは迅速かつ単純に判断を下す。たいていはそれでうまくいくが、時には判断を誤るリスクもある。

 経済学者ハーベイ・ライベンシュタインは「選択的合理性」という概念を生み出した。私たちはとことん合理的になるべきタイミングを取捨選択しているというのだ。時には入手できる情報をすべて考慮するが、現状にしがみつくこともある。状況が変化した時、私たちは常に効果的に行動を変えるとは限らない。

 このように行動経済学者は、合理性に対して多様な見方をする。たいていは、人間の合理性は自らの置かれた状況に応じて変化することを認めている。質の高い情報が得られない時、急いでいる時、社会的影響を受けている時、私たちは時間や情報が十分にある完璧な世界では下さないようなまずい判断を下すことがある、と。

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