2018年8月号掲載

逃げられない世代 日本型「先送り」システムの限界

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著者紹介

概要

経済産業省出身の著者が、元官僚としての経験論的視点から、日本の「先送り」システムの本質に迫った。なぜ国会で何も決まらないのか、人口減少で社会保障制度は破綻するのか、日米の同盟関係は維持できるのか…。先送りが生む様々な問題や、現在20~30代の「逃げられない世代」が担うことになる社会的使命について考察する。

要約

先送り国家日本の構造

 今の日本は内政・外交問わず、戦後かつてないほどの大きな課題を数多く抱えている。

 内政問題としては、財政赤字が1000兆円超に膨らみ、年金・介護・医療といった社会保障制度の持続可能性が危ぶまれ、人口減少で労働力不足や経済縮小が懸念されている。

 外交的には、北朝鮮が核ミサイルの開発に成功しつつあり、拡大する中国が着々と軍備を拡張し、日本に対する圧力を強めている。一方、これまで政治経済を通して日本の最大のパートナーであり続けてきた米国では、保護主義が芽生えつつある。

 こうした長期的な課題について、政治家や官僚は責任を持って戦略的に対処しているのか?

 結論から言えば、その答えは「NO」だ。

 例えば、社会保障財政が将来的に悪化することは、低出生率が定着した1990年代にはすでに予測されていた。にもかかわらず、対策のために増税したり給付を減らしたりすることは国民の受けが悪いため、問題が長らく放置されてきた。

 その結果、年間数十兆円規模の赤字を垂れ流すような状況になってしまった。

 では、なぜ日本の政治は長期的な課題に対して無責任になってしまうのか。

短期志向にしかなれない政治家

 平成以降の衆議院議員の任期を見ると、衆議院の解散から次の解散までの期間は平均3年程度。そのため衆議院議員の政策的視点は、どうしても2~3年を見据えた短期的なものになってしまう。

 政治家個人は「国家百年の計」を考えたくとも、目先の票の確保のためにはそれが許されないのが、日本の衆議院という場である。

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