対立の世紀

Original Title :US VS. THEM:THE FAILURE OF GLOBALISM

国際・世界情勢社会・政治
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著者紹介

概要

近年、欧米先進国では、グローバリズムを掲げ、その恩恵をこうむるエリート層に対して、国民が不満を募らせている。また、移民の増加に伴うナショナリストの台頭、欧州生まれのイスラム教徒によるテロ攻撃など、様々な「対立」が生じている。果たして世界は、これらの問題を克服できるのか。地政学の第一人者が読み解く。

要約

破綻するグローバリズム

 「今こそ、地域革命を起こす時です」

 「国はもはや国家としての意味をなさず、市場でしかありません。国境線は消去され…誰でも我が国に来ることができます。これでは文化的アイデンティティが薄まってしまいます」

 マリーヌ・ル・ペンのこの発言は、西洋社会で高まりつつある不安の重要な要素を捉えている。国境は開かれ、外国人が入って来る。その中には犯罪者もいる。仕事は奪われ、システムが破綻して年金や医療制度が崩壊する。

 ル・ペンは2017年のフランス大統領選で敗れたが、そのメッセージは、「われわれ対彼ら」という、対立の21世紀の政治に強いインパクトをとどめている。

エリートのイデオロギー

 調査によれば、「世界は良い方向へ向かっている」と感じているのは、アメリカ国民の6%、ドイツ・イギリスでは4%、フランスでは3%しかいない。多くの人々は、グローバリズムとは恵まれた一部の人間にとってのみ都合のいいもので、自分たちはその中に含まれていないと感じている。

 グローバリズムは、確かにエリートのイデオロギーだ。熱心に支持してきたのは、豊かな西洋の政治指導者たちであり、情報、資金などが、前例のないスピードとスケールで国境を越えて流通することを推進するシステムを彼らは築いた。そしてこの数十年で、10億以上の人間が貧困から脱し、経済も市場も金融危機から大きく回復した。

 しかし、新しい機会が生まれるのと同時に、深刻な脆弱性がもたらされた。

 アメリカでは、人々を中間層へと引き上げてきた職業が消滅しつつあり、犯罪や麻薬中毒者は増える一方だ。ヨーロッパでは、欧州委員会と官僚たちが、28の加盟国に対する法を、その多様なニーズを理解しないまま制定してきた。

 近年では債務危機を防ぐことができず、ヨーロッパで多くの市民が賃金の低下、物価の上昇、年金の減少を強いられながらも、浪費によって債務を抱え込んだ他国を救済しなければならないと聞かされてきた。難民危機の際には、グローバリストの欧州首脳陣は、全EU加盟国がイスラム教徒難民を受け入れねばならないと主張した。その結果が、ナショナリストの急増だ。

 欧米に押し寄せるポピュリストのナショナリズム運動の波は、グローバリズム破綻の証である。

対立の「震源」

 ナショナリストとグローバリストの対立が激化したのは最近のことだ。

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