2018年3月号掲載

ローカリズム宣言 「成長」から「定常」へ

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  • 著者
  • 出版社
  • 発行日
    2018年1月5日
  • 定価
    1,760円
  • ページ数
    276ページ

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著者紹介

概要

資本主義が行き詰まりを迎えた今、さらなる経済成長を求めても豊かな実りはない。重要なのは、「成長」から「定常」への切り替えだ ―― 。思想家の内田樹氏が、成熟社会を迎えた日本がこれから向かう道筋を考察。その経済モデルとして、手元にある資源を守り、次世代に手渡すことを目標に据えた「定常経済」を提示する。

要約

脱「経済成長」

 グローバル資本主義というシステムが、終焉を迎えようとしている。

 資本主義は「人口増」「生産技術の進化」「経済成長」を前提にした仕組みである。従って、どれか1つの条件が失われれば、終わる。

 現代世界では、人口増と経済成長という2つの条件がすでに失われつつある。先進国の経済成長率は高いところで2%台、多くは0~1%台だ。

 日本は今0.5%。1950年代半ば~73年の高度経済成長期は約9%で、その後、約3%の経済成長が91年のバブル崩壊まで続いた。それから「失われた」時代に突入し、今日に至る。これは経済の自然過程であって、もう回復することはない。

人間は1日5度も食事できない

 経済活動とは、切り詰めて言えば、人間が生きてゆくために必要な商品やサービスを交換することである。だから、経済には人間の身体というリミッターがかかる。

 人間の生理的欲求には上限がある。どんなに頑張っても1日の食事は3度まで。5度、6度と食べれば、消化器が悲鳴をあげる。

 人間は、身体という限界を超えた消費活動をすることができない。これが経済成長の基本原理である。そして、経済をめぐる無数の倒錯はこの基本を忘れたせいで起きている。

貨幣で貨幣を買う経済

 今の日本は成熟社会、「生理的な基礎的欲求がすでに満たされている社会」だ。だから、消費活動が鈍化する。それは個人レベルでは「ありがたいこと」だが、経済成長しないと存立し得ない資本主義という仕組みにとっては「困ったこと」だ。

 1つは、身体というリミッターを外すことである。衣食住の欲求とは関係のないものの売買に経済活動の主軸を移すのだ。それが金融経済である。

 金融経済とは、人間の身体とは何の関係もない経済活動のこと。そこで人々は株を買い、土地を買い、ダイヤを買う。これらはすべて貨幣の代用品だ。「貨幣で貨幣を買っている」のである。これなら交換はエンドレスだ。

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