2018年2月号掲載

世界の一流企業は「ゲーム理論」で決めている ビジネスパーソンのための戦略思考の教科書

Original Title :GAME-CHANGER

世界の一流企業は「ゲーム理論」で決めている ビジネスパーソンのための戦略思考の教科書 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

戦略立案や交渉など、ビジネスに使える「ゲーム理論」を凝縮した書。「コミットする、規制させる、合併もしくは“共謀”する、報復を可能にする、信頼を構築する、関係性を活用する」。ゲームチェンジを図る上で不可欠な、これら6つのアプローチについて、専門用語や数式をできるだけ使わず、事例を交え、わかりやすく説く。

要約

コミットの威力を熟知する

 本書は、ビジネスを含む人生のあらゆる側面に応用可能な「ゲーム理論」のアプローチを紹介するものである。

ゲームを変革するための6つのアプローチ

 ゲーム理論が最大の威力を発揮するのは、展開されているゲームを認識し、有利なゲームチェンジの方法を考えていくところにある。

 ゲームを変革し、自分にとっての戦略的優位にもちこむためのアプローチには、次の6つがある。

    • ①コミットする
    • ②規制させる
    • ③合併もしくは“共謀”する
    • ④報復を可能にする
    • ⑤信頼を構築する
    • ⑥関係性を活用する

 この中から、いくつかを紹介しよう。まずは、「①コミットする」から ――

優れた武将は、ゲーム理論的戦略を好んで使う

 1519年、スペインの征服者(コンキスタドール)エルナン・コルテスは、メキシコでアステカ皇帝モクテスマ2世の軍隊と対峙した。その際、引き連れた軍隊の船の1艘を残し、すべて焼き払う。そして数では圧倒的に負けていたにもかかわらず、みごと圧勝した。

 船を1艘残したコルテスは、部下にこう語った。

 「ここに残る者は私と運命をともにしよう。意気地がなく、名誉ある偉業のために危険をわかちあう気がない者は、神の名に誓って、故郷へと帰らせよう。まだ船は1艘残っている」

 1艘の船を残したのは絶妙な計略だった。部下は、1人1人、残るか否かの選択を迫られたのだ。逃げ帰るのは少数の臆病者である、という要素が強烈な社会的圧力になった。

 他人に、こちらの望むことをすると確約させる。なんと魅力的な道だろう。コルテスがやったように、相手が採れる戦略の選択肢を変えることができれば、こちらにとって得となる行動を彼ら自身に選ばせ、戦略的優位を勝ち取れるのだ。

エアビーアンドビーが独り勝ちした理由

 個人や法人が所有する別荘や住宅を貸し出し、個人がそれを予約して宿泊する「バケーション・レンタル・バイ・オーナー(VRBO)」という制度がある。このVRBO仲介で市場を押さえているのが、ホームアウェイという企業だ。人気サイトを多く運営し、紹介する宿泊先は32.5万軒以上。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

人生を変える80対20の法則

リチャード・コッチ 阪急コミュニケーションズ

未来を見る力 人口減少に負けない思考法

河合雅司 PHP研究所(PHP新書)

戦略「脳」を鍛える BCG流 戦略発想の技術

御立尚資 東洋経済新報社

パラダイムの魔力 成功を約束する創造的未来の発見法

ジョエル・バーカー 日経BP社