爆買いされる日本の領土

社会・政治
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著者紹介

概要

明治維新の頃より、わが国の領土はたびたび外国に脅かされてきた。北方四島、竹島、尖閣諸島…。そして今、中国資本による大規模な土地買収が、北海道で「合法的に」行われている。中国の狙いは、何なのか。現地取材をもとに爆買いの実態を報告するとともに、領土に対する日本の意識の希薄さ、無防備ぶりに警鐘を鳴らす。

要約

閉鎖的な自己完結型集落

 「実は、北海道が合法的に中国に乗っ取られるかもしれない…」。2015年、ある酒席で、元高級官僚の知人がつぶやいたひと言に耳を疑った。

 彼は言う。「メディアが取り上げないから、日本人はまったく知らない」「大がかりに買収されている。自治区だってできかねない勢いだ」…。

ほぼ“村ごと”の買収

 翌2016年、北海道・日高山脈の西側に広がる農村地帯、平取町豊糠を訪ねた。北海道の中央南部にある日高山脈は、佐幌川、沙流川など多くの川の源流で、重要な水源地だ。

 豊糠地区は標高約250mに位置する山間の集落である。人口はわずか25人。この集落が2011年、ほぼ“村ごと”買収された。買収したのは、業務用スーパーを全国に展開するK社(本社・兵庫県)の子会社、農業生産法人E社(北海道むかわ町)。

 平取町の農業委員会によると、「牛馬の飼料用牧草を育てるため買収したい」というE社の要望を受け入れ売却を決定したという。豊糠地区の農地は約219haで、このうち約123ha、つまり、56%もの農地がE社に買収された。森林や原野を含めると、買収された面積はさらに増える。

 過疎化が激しい山間の農地が農業生産法人に大々的に買収される。住民は潤い、農作物の生産に弾みがつく。ここまでなら問題はない。ところが、K社は中国と関係が深いとされている企業だったのだ。実際、複数の住民が、中国総領事館ナンバーの車がこの地区を走るのを複数回目撃している。

 そして、買収された農地はいまだに草ぼうぼうで、耕作されていない。なぜ、買った土地を放置しているのか。そもそも、農業生産法人が山奥の僻地をほぼ集落ごと買収する意味は何なのか。

 地元の人々の中には、あまりの不可解さに、こんな憶測を話す人もいた。農地を荒れ地にしておいて、何年も放っておけば勝手に木が生えてくる。農業委員会に申請して、地目を「雑種地」に変更するつもりではないか ―― と。

 雑種地であれば、誰でも自由に売買できる。それに地目を変更すれば、住宅や工場を建てられる。

中国人専用のゴルフ場

 札幌市街地から約50km、羊蹄山の麓に喜茂別町という町がある。町の77%を森林が占め、喜茂別川など清流が流れる重要な水源地でもある。

 この羊蹄山の麓の丘陵地に広がるのが、中国人による中国人のためのプライベートゴルフ場だ。元々はマンションディベロッパーのセザールが造成し、2001年に「セザールCC羊蹄」の名称でオープンしたが、2003年に同社は破綻。その後、2011年に中国の投資会社が買収したという。

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