2017年7月号掲載

不動産格差

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著者紹介

概要

アベノミクスや東京五輪の恩恵を受け、価値を保てる不動産はほんの一握り。大半は下落に向かい、全国で空き家が増え続ける ―― 。不動産の市場動向に詳しい著者が、その未来を予測した。格差がすでに顕在化していることを各種資料をもとに説明し、今後、不動産とどうつきあえばいいか、実際的なアドバイスを行う。

要約

不動産の9割が下がっていく

 不動産は買い時なのか? この質問に一言で答えるのは昨今、非常に難しくなった。

 理由の1つは、「不動産市場の三極化」である。国内のほとんどの不動産価格が下がり続ける中で、一部の不動産には上昇の余地が残されている。その内訳は、次の通りである。

 価値維持・上昇する:10~15%

 徐々に価値を下げ続ける: 70%

 無価値・マイナス価値に向かう:15~20%

 このことは、どのタイミングで、どんな場所に、どのような不動産を買うかで、天地ほどの格差が生まれることを意味する。

「マイナス価格取引」も

 近年、価値を上げた不動産は、東京都心のタワーマンションなど、ほんの一握りだ。理由は「マネーの一極集中」にある。都心や都市部の超一等地はオフィスが林立し、不動産投資信託(REIT)やファンドのマネーが流入している。また、為替が円安傾向にあることも、海外マネーを都心に招来する要因となり、不動産市場にはプラスだ。

 一方で、それ以外の不動産の価値は、ジリジリと下落を続けている。価値ゼロどころか、売り出しても買い手がつかず、売り主が100万円単位の解体費を負担するといった、事実上の「マイナス価格取引」すら見られる。「不動産はどんなものでも持っていれば資産」という時代は終わった。

2050年に日本の人口は3300万人減少

 人口減少と同時に生じる「少子化・高齢化」も、住宅価格の下落要素だ。シンガポール国立大学・清水千弘教授らの研究によれば、日本の住宅価格は2040年には2010年比で46%下がるという。3000万円の住宅が1620万円になる計算である。

 こうなる要因はいくつかある。最も大きいのは、総人口の減少と老齢人口依存比率の上昇である。つまり、若年層の社会保障負担が増し、実質所得が減少することで、住宅を買ったり、借りたりする力が減退するからだそうだ。

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