2017年1月号掲載

酒池肉林

文化・思想・歴史
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著者紹介

概要

世にいう「酒池肉林」のルーツは、中国4000年の壮麗な贅沢三昧の歴史にあった!食に女性に宮殿にと、権勢欲のままにひたすら消費の限りを尽くした歴代の為政者たちとその成れの果て、量より質を重んじた貴族たちの華麗な世界…。本書は、皇帝、貴族、商人たちの贅沢のありようを通して眺めた、もう1つの「中国史」である。

要約

皇帝の贅沢

 長い歴史をもつ中国では、ありあまる富、つまり過剰エネルギーを盛大に発散し、想像を絶する贅沢や奢侈にふけった人々の例が限りなくある。

 人に途方もない夢を見させる贅沢の衝動とは、一体何なのか。中国的贅沢の世界を探ってみよう。

聡明なる魔王

 絶大な権力を手中におさめた天子が際限のない贅沢に狂う例は、中国史上枚挙に暇がない。

 その最初のケースは、中国最古の王朝、殷(BC約1600~BC約1100年)の紂王に見られる。紂は聡明で弁がたち、行政手腕も並外れていた。

 ただ、この恵まれた資質を、悪の方向へと振り向けた。聡明さは、彼を諫めようとする臣下をやりこめるために威力を発揮した。こうして歯止めがきかなくなった紂は、贅沢の限りを尽くす。

 紂の贅沢は即物的なものだった。彼はおびただしい財宝や大量の穀物を集めた。また、沙丘という離宮の庭園や建物を拡張して、レジャーランドを造り、ここに各地から集めた野獣や鳥を放し飼いにした。もちろん美女も全国から集めた。

 こうして自らのもとに権力と富を一極集中させたあげく、紂は派手な散財にとりかかった。沙丘に酒を満たした池を造り、樹木に干した肉を引っかけて肉の林とした。そしてその間で、裸の男女に鬼ごっこをさせ、自分はその情景を見ながら、長夜の宴を張って悦に入ったのだった。世にいう「酒池肉林」である。

 しかし、こんな無道がいつまでも続くわけはない。際限のない奢侈と淫虐の果てに、紂は周の武王の率いる諸侯同盟軍に攻め滅ぼされた。古代王朝殷は、こうして滅亡したのだった。

歴代皇帝の物量主義

 この紂を嚆矢として、以後の中国の歴史では、亡国の天子が奢侈と淫虐に狂ったあげく自滅するというのが、王朝滅亡のパターンと化す。

 秦の始皇帝といった古代の皇帝から、清の乾隆帝といった近世の皇帝に至るまで、贅沢三昧で鳴らした権力者たちの奢侈も、その基本構造においては、紂のケースと変わりはない。

 つまり、財宝、食糧、美女などを手もとに一極集中させたうえで、巨大な建造物や庭園を造営したり、大旅行を試みたりして、その富を華々しく蕩尽するという「物量作戦」にほかならない。

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