規制の虜

社会・政治
  • 著者
  • 出版社
  • 発行日
    2016年3月9日
  • 定価
    1,700円+税
  • ページ数
    268ページ
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著者紹介

概要

2011年の福島第一原発事故は「人災」。そう結論付けた「国会事故調」で委員長を務めた著者が、活動・報告書を振り返り、日本社会の問題点を考察した。規制当局(原子力安全・保安院)が国民の安全や利益ではなく、事業者(東電)の利益のために機能する「規制の虜」。これと同じ構造が日本のあちこちにあると警鐘を鳴らす。

要約

原発事故は「規制の虜」による人災

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震から9カ月後の12月、福島第一原発事故の根本的な原因を調査するために、国会に調査委員会が設置された。「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」、通称「国会事故調」だ。

 私は、この委員会の委員長を務めた。

「規制の虜」になっていた原子力安全・保安院

 2012年7月5日に公表した国会事故調の報告書は、事故を発生させた日本特有の社会構造や日本社会が抱える「病巣」を浮かびあがらせた。

 国会事故調では、原発事故に至るまでの経緯について、かなりの時間を費やして調査・分析した。東電、政府、役所などの関係者が、原発の安全性を確保するために何をしてきたのか、なぜ事故は防げなかったのかを様々な側面から見ていった。

 その結果、報告書では、福島第一原発事故は地震と津波によって引き起こされたものの、多くの側面から見て「人災」であったと結論付けた。

 東電や政府、官僚、規制当局、大手メディア、学者、有識者などが、国民のためにするべき管理・監視、規制といったそれぞれの役割を果たしてこなかったのだ。

 特に、歴代の原子力安全・保安院と東電との関係では、規制する立場と規制される立場の逆転現象が起きていた。国民の安全や利益のために組織された規制当局(原子力安全・保安院)が、次第に国民の安全や利益ではなく、事業者(東電)の利益のために機能するようになっていたのだ。

 こうした状況をどう説明すればわかりやすいか、私は調査統括チームのスタッフらと議論した。「もたれ合い」「なれ合い」という言葉も浮かんだが、どうもしっくりこない。そのうちに「これはRegulatory Capture(規制の虜)じゃないですか」という声が上がった。

 「規制の虜」とは、政府の規制機関が規制される側の勢力に取り込まれ、支配されてしまう状況を指す経済用語だ。政府は、国民を守るために必要な規制を産業界等に入れなければいけない。だが、規制機関が規制の虜になると、被規制産業の利益の最大化に傾注するようになるのだ。

「単線路線のエリート」が大きな要因

 「規制の虜」は、広い意味での日本社会への問題提起だった。規制の虜はどの国でも起こり得るが、特に日本には起こりやすい特有の要素がある。

 第1に挙げられるのは、「単線路線のエリート」である。

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