2016年1月号掲載

ジオエコノミクスの世紀 Gゼロ後の日本が生き残る道

ジオエコノミクスの世紀 Gゼロ後の日本が生き残る道 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

ロシアによるクリミア半島編入、南シナ海での領土問題…。争いが絶えない今日の世界を見る時、カギとなるのが「ジオエコノミクス(地政経済学)」である。国が安全保障も加味して経済政策をつくり、それを推進するための戦略理論だ。この、ジオエコノミクスを軸に世界情勢、日本のビジネスリーダーがなすべきことを語る。

要約

いま起こっていることの本質

 2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルに、イスラム原理主義者がハイジャックした航空機が突っ込む、という大事件が起きた。

 その後、世界を揺るがす数多くの出来事が起きている。アフガニスタン、イラク、シリアといった国々での戦いと政府の交代。過激派組織「イスラム国(IS)」による軍事侵攻。ロシアによるクリミア半島編入。南シナ海、東シナ海における中国と近隣諸国との間の領土を巡る緊張関係…。

 これらの出来事は、世界経済にも直接・間接、様々な形で大きな影響を与えている。紛争当事国への直接投資が激減し、経済制裁が外交手段として用いられるようになっている。

 そして、米国主導のTPP(環太平洋経済連携協定)、中国主導のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)のように、政治的に異なった立場の大国による経済圏作りが、安全保障とも絡めて議論されるようになった。

ジオエコノミクスの世紀

 地政学や安全保障と経済との相互関係の高まりから、近年急速に発展しつつある分野が、「ジオエコノミクス(地政経済学)」だ。

 これは、国が自国の発展のためだけでなく、国家安全保障の強化も加味して経済政策をつくり、それを推進するための戦略理論のこと。いわば、経済という別の手法を用いた「ジオポリティクス(地政学)」である。

 21世紀は、まさに「ジオエコノミクスの世紀」といえる。それを象徴するような、前述の出来事は、偶然、同時多発的に起きたのではない。

 数十年から100年、あるいは数百年単位の時間軸で俯瞰して初めて見える巨視的な構造変化。それが今地球上で複数進行し、相互に影響を及ぼすことで、社会やビジネスに大きなインパクトを与え始めている。地域紛争やテロはその一環だ。

人口変動、そして工業社会の形成

 紀元1年頃の地球上の総人口は、約2億3000万人。1000年後の紀元1000年も、約2億7000万人に過ぎない。だが、紀元1000年から2000年までの1000年では、約61億人まで急増した。この急激な増加は、19世紀から始まっている。

 世界のGDPも、1820年頃から急増した。言うまでもなく、産業革命の恩恵によるものだ。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界

クラウス・シュワブ 日経ナショナル ジオグラフィック社

ポストコロナの経済学 8つの構造変化のなかで日本人はどう生きるべきか?

熊谷亮丸 日経BP

絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

アビジット・V・バナジー 日経BP・日本経済新聞出版本部

ポストコロナの資本主義 挑戦される国家・企業・通貨

岩村 充 日経BP・日本経済新聞出版本部