2015年4月号掲載

平和のための戦争論

社会・政治
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概要

2014年7月、安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。この決定は、戦後70年を経て、日本が軍事力を使う基準を緩和したことを意味する。なぜ今、集団的自衛権を認めたのか? 今後、日本はどのように平和を守っていけばいいのか? 安全保障の専門家が、現実的な視点から、日本の安全保障をめぐる環境や抑止力等について考察する。

要約

日本の安全保障をめぐる環境

 2014年7月、安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をした。戦後69年間、安全保障政策を自ら抑制してきた日本は、変化に向けて、一歩踏み出したことになる。

 これまで、日本が戦争するのは、日本が直接攻撃された場合に限られていた。限定的にでもこの基準を緩和するということは、様々な選択を強いられるということを意味する。これまでは、仕掛けられた戦争を戦うというしくみだったが、これからは、選んだ戦争を戦うことになる。

安全保障環境は厳しいのか?

 2010年頃からよく耳にするのは、日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっている、ということだ。例えば、13年12月に発表された国家安全保障戦略は、日本の「安全保障をめぐる環境が一層厳しさを増している」という状況認識を示し、政府全体として取り組む必要性を強調した。

 集団的自衛権を容認する閣議決定も、同じ状況認識の上に立つ。つまり、日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっているので、従来の安全保障政策や法律、憲法解釈では不十分だというのだ。

 北朝鮮は核兵器を開発している。中国は防衛費をこの25年間、ほぼ毎年10%以上増やし、空海軍力を増強している。その上、尖閣諸島の領有権を主張し、周辺海域で活動を活発化させている。

 日本を取り巻く安全保障環境は政府が言う通り、厳しさを増しているのか? もし、北朝鮮や中国の脅威が増しているなら、なぜ日本が集団的自衛権の行使を容認すると日米の抑止力が増すのか?

集団的自衛権のしくみ

 集団的自衛権の行使の前提にあるのは、自国が直接攻撃されているのではない、ということだ。自国が攻撃されている場合は、個別的自衛権の行使になる。「自分は攻撃されていないけれども、他国が攻撃されていて、その国を守るために軍事力を使う」ことが集団的自衛権の行使だ。

 この場合の他国は、同盟国などの場合が多い。日本の場合は、米国が攻撃された時に、米国を守るために戦うことが集団的自衛権の行使にあたる。

 では、日本が「自分が攻撃されていなくても米国を守るために戦います」と宣言することが、中国に対する抑止を増すとはどういうことか。

 集団的自衛権行使が必要だという説明は、大きく分けて2つある。

 1つは、このままでは日本人を守れない、という議論。紛争地域から避難してくる日本人の母子が乗った船が米国の軍艦だった場合、その母子を自衛隊が守れないのはおかしい、という議論だ。

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