2015年1月号掲載

ロバート・ライシュ 格差と民主主義

Original Title :BEYOND OUTRAGE

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著者紹介

概要

この30年間、米国では巨額の金が上位1%の富裕層に集中した。一方で、その他大勢の人々の生活は悪化し続け、2011年には「ウォール街を占拠せよ」という抗議運動が起こった。なぜ、このような歪みが生じるのか? 米国で起きている経済格差拡大のメカニズムを、クリントン政権での労働長官をはじめ3つの政権に仕えたロバート・ライシュ氏が暴く。

要約

いくつもの点をつなげて考える

 今日の経済活動や民主主義は、普通の労働者には「不公正なゲーム」に見えてしまう。

 私は40余年、政治の世界に関わってきた。これまで3つの政権に仕えたが、今ほど米国の民主主義の未来や、富と権力がトップ層に次々と集中していく現状に、不安を感じたことはない。今や私たちは、経済や政府がごく一握りの富裕層のために存在するという危険な事態に直面している。

 我々が直面している課題。それは、システムそのものに起因している。

 最初にあなたがすべきことは、いくつもの点をつなげてみることだ。そうすれば、無関係に見えるいくつもの厄介な問題が、次のように、相互に絡み合っていることがわかる。

・この30年間、経済成長による利益のほぼすべてがトップ層に渡っている

 1960~70年代には、米国の富裕上位1%の人々の所得総額は、GDP(国内総生産)の9~10%であった。それが2007年には23.5%になった。

 富裕層上位400人だけで、下位層1億5000万人の所得を合算したよりも多い富を得ているのだ。

・大不況の後にやって来たのは、活力に欠けた景気回復だった

 あまりに多くの所得と富とがトップ層に偏ったために、膨大な中間層が購買力を失ってしまい、景気を維持することができなくなった。

・政治的権力が上へ上へと移行している

 所得と富がトップ層へ集中するに従い、政治的権力もまた上層へ集中していった。この上位集中の構造は、民主主義を死に至らせるプロセスだ。

 このことが、次の問題点につながる。

・企業や超富裕層は、税金をより少ししか払わず、手厚い企業助成措置を受けるようになる

 このカネがゆえに、企業幹部やトレーダーたちが政治家に何か要望すると、政治家はそれに応じようとする。パトロンたちが政治家に求めるのは、減税、あるいは補助金、救済措置、規制緩和だ。

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