2014年4月号掲載

僕たちが親より豊かになるのはもう不可能なのか 各国「若者の絶望」の現場を歩く

Original Title :End of the Good Life

僕たちが親より豊かになるのはもう不可能なのか 各国「若者の絶望」の現場を歩く ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

2007年の米国での金融危機に端を発した経済的混乱から、世界は立ち直りつつある。とは言え、欧米では若者の失業率が極めて高い。各国政府は雇用問題よりも赤字削減を優先し、彼らをさらに悪い境遇に追い込もうとしている。失業、低賃金、借金…。『ウォール・ストリート・ジャーナル』の若手記者が、大卒でも就職できない“若者の絶望”の実態をレポートする。

要約

豊かな生活の終わり

 アメリカンドリームが、幻想ではない時代があった。

 1981年、ジョゼフとエスフィラという若い夫婦が、人生を賭けて当時のソ連からアメリカへ移住した。英語が話せるわけでもなければ、住む場所が決まっていたわけでもない。ただ、いい暮らしがしたいという思いがあっただけだ。

 2人はアメリカに着くと、ニューヨーク米国移住者協会(NYANA)の手を借り、住宅を借りた。

 NYANAはまず、エスフィラに英語と簿記の講座を受けさせた。そして、彼女の履歴書を求人のある会社に送付。面接の結果、会計係に採用された。

 一方、ジョゼフは、NYANAが紹介した会社で面接を受け、エンジニアの職を手に入れた。給与は年間1万4000ドルだった。

 2人は貯金をし、庭やプールまでついた2階建ての家を買った。それからさらに数年もしないうちに、ジョゼフが会社の経営を始め大成功する。

 アメリカンドリームを実現したのだ ―― 。

 実は、ジョゼフとエスフィラというのは私の両親である。だが現在、若者が経済的成功を収める可能性は減少しつつある。時代の変化を暗示するかのように、NYANAは2008年に閉鎖された。

 そんな折、2007年に金融危機が発生した。アメリカは大不況に陥り、豊かな生活の実現はいっそう困難になった。

 その結果、1976~2000年に生まれた「Y世代(Generation Y)」といわれる若者は、数え切れないほどの困難に直面することが予想される。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

人新世の「資本論」

斎藤幸平 集英社(集英社新書)

日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方

鈴木貴博 PHP研究所(PHPビジネス新書)

スモール・イズ・ビューティフル 人間中心の経済学

E・F・シューマッハー 講談社(講談社学術文庫)

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論

デヴィッド・グレーバー 岩波書店