2013年9月号掲載

「幸せ」の経済学

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著者紹介

概要

経済成長率が高ければ、人々は幸福になる、という考え方がある。これに疑問を呈する著者が、内外の各種統計データを基に、経済学の見地から、人々の「幸せ」とは何かを探った。少子・高齢化時代を迎え、このままいけばマイナス成長は不可避。そんな日本において、人々の幸福を高めるにはどうすればよいか、幸せについて考える上で、良きヒントとなる1冊だ。

要約

世界は「幸せ」をどう考えているか

 世界各国の人々は、どのように幸せを感じているのだろうか。それをどのような指標で測り、比較すればいいのだろうか。

 その近年の歴史をひもとくと、いくつもの指標が提案されてきている。

幸福を測る指標

 まず、1972年、ローマクラブが「成長の限界」、すなわち「もう経済成長ばかり追い求めるな」という提案をした。これは天然資源の枯渇の恐れ、深刻になりつつある環境問題への対処策だった。

 次に、ノードハウスとジェームス・トービンという2人の米国の経済学者が、「Measures of Economic Welfare」という指標を提唱した。

 従来の経済活動だけでなく、消費サービス(例えば、教育、医療や余暇)、経済学的にはそれまで無償労働と評価されていた家事労働などをGNPに加えて評価しよう、というのが彼らの主張だ。

 また、国連開発計画(UNDP)がHDI(Human Development Index)という概念を提起した。

 これは、衣食住だけでなく、医療、教育、寿命といった問題まで考慮すると、人間の幸福はGDPだけでは測れないという概念だ。

 そして、76年に登場して世界に衝撃を与えたのが、ブータンの国民総幸福(Gross National Happiness)という概念だ。同国は当時非常に貧しかったが、国民の97%が自分は幸福だと答えた。

 考えるに、70年代のブータンの人々は、他国の人々がどれだけ豊かな生活をしているか知る機会がなかったが、その後、そこそこ豊かになり、テレビなどで世界各国の事情を知るようになって、自分たちはまだまだ豊かではないと感じ、上記のような結果になったのではないだろうか。

幸福の国際比較

 では、世界でどこの国の人の幸福度が高いのか。イギリスのレスター大学が2006年に178カ国を対象に行った研究がある。

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