2012年9月号掲載

30代が覇権を握る! 日本経済

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著者紹介

概要

少子高齢化が進む今の日本では、若い世代が年金や医療費の負担増に苦しんでいる。一方、高齢者は自分の資産を取り崩すことなく、年金で優雅に暮らす。この“世代間収奪”の問題に、今のままでは日本経済の活力が完全に失われる、と危惧する著者が斬り込んだ。裕福な高齢者は自力で生き抜く。その前提の下、年金、税制、働き方等に及ぶ大胆な改革案を示す。

要約

若い世代の活力を甦らせるために

 低迷を続ける日本経済。最近では、日本はこれ以上の成長は望めない、下り坂に入ったという論調を耳にするようになった。それを象徴するかのような『下山の思想』というベストセラーも出た。

 こうして見ると、あたかも日本全体が下山するような印象を受けがちだが、それは違う。

 老若男女が一斉に下山すれば、未来はない。世代ごと、すなわち30代以下の働き盛りの世代(若い世代)と、団塊の世代を含む60代以上の世代(上の世代)に切り分けて考えねばならない。

若い世代は上の世代の重みに耐えきれない

 上の世代が下山するのは当然だ。人間誰しも年を取れば、どこかの段階で向きを反転して麓へ下りていくしかない。だが、かつては下山する人数よりも、登る人数の方が圧倒的に多かった。

 今は違う。団塊の世代が一斉に下山しようとしている。これだけ大勢の人が一斉に下山する時代は、長い日本の歴史の中でも1回もない。

 そして、彼らはただ下山するわけではない。病気や介護、様々なコストが必要になる。

 現状では、そのコストを若い世代が補填する。つまり、現在の公的な年金制度や医療保険のコストの大半は、若い世代の保険料か税金で賄う仕組みになっている。若い人たち2、3人で、老人1人が下山するのをサポートしていくことになる。

多数派は自ら決断せよ!

 これでは、若者の大半が年寄りの下山の手伝いでエネルギーを使い果たしてしまう。この状態を変えるには、制度を根本から改めるしかない。

 1人1票の民主主義的政治の世界では、上の世代の人々の意見が勝つ。若い世代より絶対数が圧倒的に多いから、当然だ。政権は、多数派である上の世代を切り捨てることはできない。

 ではどうすれば、今の仕組みを変えられるのか。

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