2012年7月号掲載

リアルタイム・マーケティング 生き残る企業の即断・即決戦略

Original Title :Real-Time Marketing & PR

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著者紹介

概要

ソーシャルメディアなどを通じ、人々の間で瞬時に情報が駆け巡るようになった。企業はそうした情報にリアルタイムに反応しないと、ビジネスチャンスを逃したり、あるいは、悪評がまたたく間に広がるのを眺めるはめに陥りかねない。本書は、様々な企業事例を交えつつ、この“リアルタイム時代”におけるマーケティング、PR戦略について述べる。

要約

成功のカギは、スピードと機敏さ

 「リアルタイム性」。これを特徴とする最近の事業環境では、世論はもはやマスメディアには左右されない。今日、勝利をもたらすのは、規模ではなく、スピードと機敏さである ―― 。

デイブVS巨大企業の攻防

 2008年3月31日、シカゴ。離陸を待つユナイテッド航空の機内で、窓側席の女性が「ひどい! ギターをあんなふうに放るなんて」と叫んだ。

 機内にいたシンガーソングライター、デイブ・キャロルは、誰のギターかすぐにピンときた。彼のギターはユナイテッド航空に預けてあったのだ。

 案の定、デイブがオマハに着いてケースを開けると、ギターは壊れていた。彼は修理代を取り戻すために、何カ月にもわたってユナイテッドに電話をかけたりメールを送ったりした。そのたびに、応対者はデイブをたらい回しにした。そして9カ月後、デイブはけんもほろろの通告を受けた。ユナイテッドは一切補償に応じないというのだ。

 そこでデイブは、09年7月6日、自作の曲『ギターを壊すユナイテッド航空』をユーチューブに投稿した。壊れたギターをテーマにした曲だ。

 わずか4日後、この動画の再生回数は100万回に達した。この件はほどなくリアルタイム現象となり、彼は数日で何十ものインタビューに応じた。

 ユナイテッド航空は、自社ブランドを晒し者にした動画が登場し、何百万人もの潜在顧客の目に触れているにもかかわらず、頬かむりを決め込んだ。ウェブサイト上での説明もメディア向けの声明も一切なし。リアルタイムの対応をしなかった。

 残念ながら、公の場で何の対応も示さず、ネット上での急激な騒動の広がりから目を背けようとする姿勢は、産業界ではいまだにはびこっている。

リアルタイムの関わり

 デイブのギターの製造元であるテイラー・ギターは、彼が曲を発表した数日後には、社長のボブ・テイラーが自らユーチューブに登場し、移動の多いミュージシャン向けにギターの梱包法などをアドバイスした。これは、投資効果の極めて高い取り組みだ。1日分にも満たない労力しかかかっていないのに、主な顧客層に該当する50万人超もの人々が、この動画を視聴してくれたのだ。

 プロのミュージシャン向けに壊れにくい楽器ケースを製造するカールトン・ケースも、チャンスをうまくつかんだ。ものの数日後には、新製品「デイブ・キャロル仕様旅行用ギターケース」を発売したのだ。

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