2012年1月号掲載

誰が中流を殺すのか アメリカが第三世界に墜ちる日

Original Title :Third World America

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著者紹介

概要

今やニューヨーク・タイムズ電子版をしのぐほどの人気を誇るニュースサイトの編集長で、2006年と11年にはタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた女性が、本書の著者である。徹底した「市民目線」の編集。この姿勢を貫き、多くの人に支持される彼女が、モラルなきウォール街、癒着する政財界等々、今の米国の病巣を指摘し、その処方箋を示す。

要約

第三世界アメリカ

 「第三世界アメリカ」―― 嫌な響きの言葉だ。アメリカ人がこの国について抱いている「地球上で最も偉大な国」というイメージの対極にある。

 私にとって、この言葉は警告だ。

 本書で、私は「第三世界アメリカ」というフレーズの下に、国民にとって最も大きな不安の1つを明らかにしたい。それは、この国が坂を転げ落ちているのではないかという不安である。

「窒息」させられる中流層

 アメリカが危険な道を歩み始めたことを何より明確に示すのは、中流層の哀れな状況だ。

 その事態の深刻さを、ハーバード大学のエリザベス・ウォーレン教授はこう要約する。

 ―― アメリカ人の5人に1人が失業中か不完全雇用の状態にある。9世帯に1世帯がクレジットカードの最低支払額を払えない。住宅ローンの8分の1が延滞か差し押さえ、毎月12万以上の世帯が破産している。

「金融化」が進むアメリカ経済

 アメリカでは2009年、製造業の雇用が120万人分失われた。製造業はこれまでアメリカ人を中流に導き、その階層にとどめてきた仕事だ。このブルーカラーの職の消失が数十年来続いている。

 1950年には、非農業部門の雇用のうち、30%以上を製造業が占めていた。だが2009年には、10%にまで低下した。00年以降、アメリカの製造業の雇用の実に3分の1が消えている。

 アメリカの産業全体の収益に占める金融業のシェアを見れば、この傾向ははっきりする。

 1973~85年、国内の企業収益に占める金融業の比率は最高でも16%だった。これが90年代に入ると21~30%となる。

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