2008年12月号掲載

強欲資本主義 ウォール街の自爆

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著者紹介

概要

サブプライム問題を発端にした金融危機により、その栄華に終止符が打たれたウォール街。失敗の原因は、そこにはびこる「強欲資本主義」にある ―― 。前著『さらば、強欲資本主義』(亜紀書房)で、ただ利益だけを追い求める強欲資本主義を批判した著者が、欲にまみれたウォール街の実態を暴く。そして、大不況に向かいつつある世界経済に対し、処方箋を提示する。

要約

宴の終わりの始まり

 1990年代初頭から20年近くの経済の低迷で、日本人ビジネスマンは、自分たちがそれまで維持してきた価値観に自信を失った。

 そんな時に小泉・竹中政権が誕生し、「グローバル・スタンダード」という美名の下、米国経済をお手本として「日本も金融立国しよう」というスローガンが喧伝された。

 多くのビジネスマンはその気になった。米国のビジネス・スクールに学んでMBAを取得し、外資系金融機関に就職することこそ、成功への近道であるかのような風潮が広がっていった。

 その結果、「六本木ヒルズ族」に象徴されるように、ウォール街の真似をし、拝金主義的な空気が日本でも蔓延し始めた。

 だが日本人は、米国経済やウォール街の本質を全く理解していなかった。ウォール街では、「強欲資本主義」がはびこり、本質的な経済の疲弊が始まっていたのである。

 ウォール街にいると、人間の強欲さが手に負えないところまで来ていると痛感する。

 そもそも金融というものは、実業を営む人たちの脇役に徹するべきであり、企業の事業構築を助けるのが金融本来の仕事のあり方だ。

 ところが、ウォール街の現状は全く違う。

 つまり、金融資本が主役となり、本来主役であるはずの企業を支配してしまったのである。

 そして金融資本は、買収した企業から利益を搾り取れるだけ搾り取る。彼らは事業を行うために投資するのではない。「安く買って高く売って儲けること」こそが、彼らの最終目的なのである。

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