2008年4月号掲載

なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか

なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

医療費、そして小学校から大学までの教育費が無料など、世界最高レベルの社会福祉制度で知られるデンマーク。当然、税金も高くなるが、国民に不満はなく、国家財政も黒字である。こうした高福祉国家が成り立つのはなぜなのか? 長年デンマークに暮らす著者がその理由を明かすとともに、日本が社会福祉国家になれない原因と、改善すべき点を鋭く指摘する。

要約

理想の国家、デンマーク

 デンマークでは、出産費用に始まって葬儀代まで国家が負担する、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」の社会福祉政策がとられている。

 病院の入院・治療費も無料である。また、生活保護制度や年金制度が充実しており、老齢者に対する手厚い自宅介護支援の仕組みもある。

 教育も原則無料である。医療費と同様、国民全員で負担するという考え方を導入しているからだ。

 その根底には、教育は国家を支える人材を育成する国家的事業だという考え方がある。教育の成果は個人に恩恵をもたらすばかりでなく、社会を豊かにすると考えられているのである。

 また、デンマークでは日本のように大学入学試験がない。高等学校3年間の全ての科目の平均点数で入学できる大学と学部が決まるので、高校教育が大学入試を目標に行われることもない。

 大学教育は常に実社会との関係を重視して行われているから、専門的に学んだ学問が卒業後の仕事と直接結びつく。

 「学校教育の目的は、個人が持つ能力や才能を社会のために育成すること」。この教育理念がとてもはっきりしているのである。

 デンマークではまた、主食とする豚肉や肉製品、バター、チーズなどの酪農製品は、カロリーベースで300%の自給率を実現している。これは農業者による自立的営農の結果で、自給率を高めるために政府が支援策を打ち出しているわけではない。

 この背景には、国家を維持する上で必要な施策を国民全体が理解し、中央政府や行政の指導を待つまでもなく行動に移すという国民性がある。

 例えば、73年のオイルショックの時、それまで外国の石油にほぼ100%依存していたデンマークでは、市民が先駆けて風力発電を導入し、2000年頃には風力発電を一大産業に育て上げた。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

世界から戦争がなくならない本当の理由

池上 彰 祥伝社(祥伝社新書)

データでわかる 2030年 地球のすがた

夫馬賢治 日経BP・日本経済新聞出版本部(日経プレミアシリーズ)

「世界の警察官」をやめたアメリカ 国際秩序は誰が担うのか?

高畑昭男 ウェッジ

グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界

クラウス・シュワブ 日経ナショナル ジオグラフィック社