2005年8月号掲載

希望のニート 現場からのメッセージ

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著者紹介

概要

ニートを単なる「労働意欲のない甘えた若者」と片づけ、彼らの存在が社会に問いかけている問題を見落としてはならない ―― 本書は一貫してそう訴える。なぜ彼らが生まれたのか、その原因を探らなければ根本的な解決にはならない。誰もがニートになる社会環境になりつつある今、ニート対策の現場に立つ著者が、その実態を明らかにし、問題の本質に迫る。

要約

ニートとは誰か?

 今、ニート問題が深刻である。それは、就職率の低下を踏まえ、誰でもニートになり得る社会環境が整いつつあるからだ。

 そう考えられる理由は、主に2つある。

 1つは、大学卒業後に就職したものの、その劣悪な職場環境に耐え切れずに退職してニートになる、「退職型ニート」が増えていることである。

 もう1つ、高校や大学卒業後にフリーターとして働き続けたが、30歳を過ぎると働き口が急に減り、本人の意欲とは無関係にニートになってしまう、「フリーター型ニート」も増えている。

 こうした若者は、主に次のような特徴を持つ。

「自分探し」への疲労感

 引きこもりの若者は、「自分探し」への疲労感を抱えている。「自分は何がしたいのか」「自分って何者なのか」…。彼らは、ひたすらそう自問自答する。頭の中で延々とシミュレーションしてばかりいるから、思考は空転せざるを得ない。

トライ・アンド・エラー(試行錯誤)がない

 今の若者には、トライ・アンド・エラーをしようという発想がない。中学校でも高校でも、その機会は実はたくさんある。だが彼らには、そういう体験を避けようとする傾向があるようだ。

 それは家庭も同じである。今の親は子供に家事をさせずに、勉強だけしていればいいという環境を勝手に整えてしまう。学校でも家庭でも、子供たちは多様な実体験を持てなくなっているのだ。

「自立しなければ」という呪縛

 ニートになる若者には、生真面目なタイプが多い。車のハンドルでいう「遊び」がない。圧倒的な経験不足による「糊しろのない生真面目さ」ゆえに、些細な失敗にも必要以上に傷つく。物事をゼロか100かで考えてしまうのだ。

 だから、「自立しなさい」といった言葉にがんじがらめにならないように、頭を柔らかく揉みほぐしてやる必要がある。

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