2021.3.10

「ウソ」を科学する

「ウソ」を科学する
「嘘には3種類ある。普通の嘘と、真っ赤な嘘と、統計だ」
19世紀イギリスの首相ベンジャミン・ディズレーリが語ったとされるこの言葉。数字の説得力を支えるために統計が使われることを表したものとして知られています。裏を返せば、人がいかに数字に騙されやすいかを示した言葉とも言えるでしょう。
では、なぜ人は数字に惑わされ、「ウソ」を信じてしまうのか? そうしたウソに騙されないためにはどうすればよいのか?
今回は、ウソと人間の心理について科学的に分析した5冊を選書しました。
記憶の不確かさから、ウソを誤信する脳の働き、社会で進む「ポストトゥルース」の動きまで。いずれの書も、示唆に富む内容となっています。

2019年7月号掲載

人間この信じやすきもの

不妊の夫婦が養子をとると妊娠しやすくなる。バスケットボール選手が波に乗るとショットが連続で決まる…。世の中には、根拠がないにもかかわらず、多くの人が陥る“誤信”が多数ある。こうした誤信はいかにして生じ、信じられ続けるのか? 認知心理学者がそのメカニズムを、興味深い様々な事例を引きつつ、明らかにする。

著 者:T・ギロビッチ 出版社:新曜社(新曜社認知科学選書) 発行日:1993年6月

2019年5月号掲載

データは騙る

「ビッグデータ」の分析、活用により、ビジネスや生活は大きく変わるといわれる。しかし、大量のデータとコンピューターが常に真実を導き出すとは限らない。世の中にあふれる一見もっともらしい数字や調査結果に、私たちはどう向き合えばいいのか? その見極め方、データとの向き合い方を、各種事例を交えて説く。

著 者:ゲアリー・スミス 出版社:早川書房 発行日:2019年2月

2009年12月号掲載

記憶はウソをつく

最近の研究により、人間の記憶の不確かさが明らかになっている。想像しただけのことを体験したと思い込んだり、思い出す時の心理状態によって記憶が変わったり、といったことが簡単に起きるのだ。著者は、冤罪事件にはこうした記憶の性質が深く関わっていると指摘。冤罪事件や心理実験など、具体的な事例を挙げ、記憶が捏造され、変容するメカニズムを解説する。

著 者:榎本博明 出版社:祥伝社(祥伝社新書) 発行日:2009年10月

2021年2月号掲載

統計はこうしてウソをつく

「嘘には3つある。普通の嘘と、真っ赤な嘘と、統計だ」。この言葉が示す通り、世間にはインチキな数字が溢れている。そして、多くの人はそのことに気づかず、間違った統計を鵜呑みにしがちだ。そんな数字の落とし穴に警告を発した、統計学の入門書。おかしい統計が生まれる原因、騙されないためのノウハウを平易に説く。

著 者:ジョエル・ベスト 出版社:白揚社 発行日:2002年11月

2021年1月号掲載

ポストトゥルース

「ポストトゥルース」。これは、客観的事実より感情に訴える方が影響力のある状況のこと。2016年の米大統領選でのトランプの勝利等を機に、急速に広まった語だが、現象そのものは古くからある。科学の否定、認知バイアス、メディアの変容…。様々な角度から、“真実が輝きを失う”プロセスを、科学哲学の専門家が明らかにする。

著 者:リー・マッキンタイア、大橋完太郎(監訳) 出版社:人文書院 発行日:2020年9月

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