2026年11月号掲載
[新訳]禅マインド ビギナーズ・マインド
著者紹介
概要
スティーブ・ジョブズが「座右の書」とした、禅の世界的名著の新訳版。アメリカに禅を根付かせた、鈴木俊隆老師の講話を収める。坐禅の姿勢や呼吸の心得、心をコントロール下に置く方法など、禅の奥義をわかりやすい語り口で伝える。坐禅と生活を通して「初心者の心(ビギナーズ・マインド)」を維持し、真の禅心(禅マインド)へと導く入門書だ。
要約
初心者の心
禅の修行は難しいと言われるが、その理由については誤解がある。修行が難しいのは、脚を組んで坐ることが難しいとか、悟りを得ることが難しいからではない。それは、私たちの心や修行を純粋なままに保ち続けることが難しいからなのだ。
日本には「初心」という言葉がある。それは、「初心者の心(ビギナーズ・マインド)」という意味である。修行の目標とは、常にこの初心者の心を保ち続けることなのだ。
皆、しばらくの間なら初心者の心を持ち続けることはできるだろう。しかし、1年、2年、3年、あるいはもっと長く修行を続けていると、多少の上達は見られるだろうが、もともとの心が持っていた無限の意味を見失いやすくなる。
禅を学ぶ者にとって最も大切なことは、二元論に陥らないことだ。「最初の心(オリジナル・マインド)」は、すべてのものをそれ自身の内に含んでいる。それは常に豊かで、それ自体で満ち足りている。この心の状態を失ってはならない。それは空の心であり、いつでも受け入れる準備のできている心という意味だ。そういう心は、何ごとに対しても開かれている。
初心者の心には、「私は何かを達成した」という考えはない。すべての自己中心的な思考は、広大な心を限定してしまう。何かを達成しようという考えを持たず、自分という考えもない時、真の初心者でいられる。その時、私たちは本当に何かを学ぶことができるのである。
また初心者の心は、「思いやりの心」である。心が思いやりに満ちている時、それは無限なものになる。曹洞宗の開祖である道元禅師は、この無限な最初の心を取り戻すことがいかに大切であるかを常に力説した。
そうすれば私たちは、すべての存在に思いやりの心を持ちながら、自分自身に対して変わらず誠実であり、本当に修行をすることができるのだ。
禅についての深い理解を持つ必要はない。たとえ禅に関する文献を読むとしても、1つ1つの文章を新鮮な心で読まなければならない。「私は禅とは何かを知っている」などと言ってはいけない。
いつも初心者でいること、これは諸芸のまぎれもない秘訣でもある。
坐禅の姿勢
坐禅の姿勢をとる時、一番大切なのは脊椎をまっすぐに保つことである。耳と肩が同じ直線上になるようにする。肩の力を抜いて、後頭部で天井に向かって押し上げるようにする。そして、あごを引き寄せなければならない。あごが上を向いている時は、姿勢に力が入らない。そんな時は、おそらく夢想にふけっている可能性がある。