2026年11月号掲載
キーエンス流 性弱説経営 人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる
著者紹介
概要
センサーなどを開発・製造するキーエンス。営業利益率が50%を超え続ける超高収益企業である。そのすごさの秘密とは? 同社出身の著者によると、個々の取り組みを貫く根本的な考え方、「性弱説」が他社にはない強みだという。失敗を減らし、成功する確率を高める。この性弱説をベースにした経営手法を徹底解説する。
要約
キーエンスの強さを支える「性弱説」
キーエンスは、センサーなどを開発・製造するメーカーである。そして、営業利益率が50%を超え続ける超高収益企業として知られている。
他社とは何が違うのか? それは、キーエンスは「性弱説」の考え方で動いている、ということだ。
ビジネスの場における「性善説」と「性弱説」
性弱説とは、「できないかもしれない」に備える考え方である。例えば、マニュアルを作ったが現場がその通りに動いてくれない場合、理由として次のようなものが挙げられる。
- ・マニュアルを読んでも理解できない
- ・マニュアルを読んでもすぐには習得できない
共通するのは、「○○できない」という言葉だ。
「人は特別なこと以外は何でもできる」という前提に立つか、「人は思っているよりもできないことが多い」という前提に立つか。これが、「性善説」と「性弱説」の違いになる。
性善説とは、人はみな本来善人であり、「正しく指示すれば何でもできる」という考え方である。「仕事をきちんと頼めば、ちゃんとやってくれる」「スケジュールを明示したら、きちんと守ってくれる」など、すべてが「できる」という前提に立っている。
一方の性弱説とは、人は本来弱い生き物なので、「難しいことや新しいことを積極的にはやりたがらない」というような捉え方である。「仕事をきちんと頼んでも、抜けや漏れが出る」「スケジュールを明示しても、その通りに進まない」…。多くの人が働く企業は基本的に、「思った通りには動かない」と考える方が自然だろう。
難しい仕事にこそ性弱説が効く
今、あなたに普通の難しさの仕事が与えられたとする。そうするとあなたは、依頼してきた人の期待通りの成果を出せるだろう。
だが、仕事の難度が上がるとそうはいかない。「何もアドバイスせずに任せたら、成果が期待できないかもしれない」という前提が必要になる。
多くの企業では、難しい仕事を任せる時も「できるだろう」と性善説でアプローチしている。一方のキーエンスでは「できないかもしれない」という性弱説視点で、「任せた仕事をできる確率を高めるにはどうすればいいか」を考えている。この両者の差が、結果に大きな違いを生むのだ。
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