2026年9月号掲載

あの若手はどうして辞めないのか 変わる社会と変わらない若者の本音

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著者紹介

概要

今日、若手の離職に悩むマネジャーは多い。入社しても、29歳までに半分弱が1回以上退職している。そんな転職が当たり前の時代に、あえて会社を「辞めずに働き続ける」人たちが考えていることとは? 分析によれば、若手の「辞めない理由」は多様だ。その理由を基に、早期離職への対処法、若手の育て方をアドバイスする。

要約

若手にいま、何が起こっているのか

 現代の企業社会には、人材の育成に悩む経営者やマネジャーの声があふれている。特に若手については、「このままでは職場の若手が離職してしまうと感じる」マネジャーが65.0%に達する。

 29歳までに半数近くが1回以上退職する時代、若手の離職はもはや普通のことだ。

転職市場の成立

 なぜ、これほどに若手が辞めていくのか? それは、社会(職業社会)が変わったからだ。

 日本の職業社会には、この10年で様々な変化が起こった。その1つが「転職市場の成立」だ。

 直近の調査では、29歳以下で転職した者の42.6%が年収を増やしている。かつては転職すれば年収が下がった。それは年収水準の高い大手企業の中途採用数が少数だったことが原因だが、その状況は大きく変化した。2010年度頃まで最大手2000社合計で1年間の中途採用計画数は1万人程度だったが、2025年度には合計15万人に。

 つまり、年収が下がっても我慢して転職していた状況が変化し、経済合理性の面からもキャリアの選択肢として転職が浮上したのだ。

「選択の回数」の増加

 企業社会の変化と並行して、個人の職業人生に起こった重要な変化が「選択の回数」の増加だ。

 かつて、リンダ・グラットンらは著書『LIFE SHIFT』で、過去の社会人に共通していた人生の構成を「3ステージ人生」と呼んだ。これは、「教育」「仕事」「引退」という3つの段階で構成される。

 3ステージ人生は「就活」と「定年前後のセカンドキャリア設計」を乗り切れば豊かな人生を送れた。しかし、マルチステージ人生では数回きりの選択で職業人生は決まらない。転職、育休、介護離職、学び直しなど、複数回の選択や軌道修正を経ながらキャリアを築く時代となったのである。

青すぎる鳥と芝

 選択の回数が増える中、若手社会人に生じている心理的状況がある。それは「友人・知人と比べて差をつけられていると感じる」という「比べる不安」ともいえる心情が顕在化してきたことだ。

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