2026年9月号掲載
おそるべき「中国一強」時代
- 著者
- 出版社
- 発行日2026年6月3日
- 定価1,100円
- ページ数221ページ
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著者紹介
概要
迷走を続ける米トランプ政権を尻目に、ますます強大化する中国。この国は様々な新技術を貪欲に試し、多くが実を結んでいる。再生可能エネルギーで全電力の半分超を発電、冷却水不要の原発を建設、「空飛ぶ車」で経済を活性化…。中国問題に精通する著者が、現地取材を基に“おそるべき隣国”の最新動向を報告する。
要約
“世界最大”電力インフラの最前線
2018年、中国・甘粛省の敦煌に、中国初の100メガワット級光熱発電所が完成した。約8km²の敷地に1万2000面を超える鏡が置かれており、光があれば常時発電することができる。
報道によれば、2025年12月時点で甘粛省の総発電設備容量は1億2500万キロワットを超えた。
そして2024年の実績ベースで見ると、甘粛省は全国25の省・自治区に対し、550億キロワット時以上の送電をしたと推計されている。エネルギー資源も火力に始まり、水力、風力、太陽光、バイオマスなど多様な発電様式が利用されたという。
あらゆる発電のパターンを貪欲に試す
甘粛省に隣接する青海省でも、クリーンエネルギー化が進展している。
2024年末時点における青海省の発電設備容量は、なんと94.6%がクリーンエネルギーである。そのエネルギーは省内をカバーするだけでなく、今では河南省にまで届けられている。
省を跨いで電力を安定的に届けるためには、発電規模の拡大だけでは足りない。太陽が沈む夜間の電力をカバーする「補完電力の確保」が不可欠になる。青海省の黄河公司は、この点で世界最大規模の水力・太陽光相互補完システムを完備する企業であり、その発電設備容量も世界最大である。
この相互補完システムは2つある。1つは、太陽光が不足する夜間にダムによる水力発電を稼働させて、供給電力を補うというやり方。もう1つは、日中に作り出した太陽光による電気を蓄電池に溜めておき、夜間に放出するパターンだ。
そして蓄電方式も2種類ある。巨大な蓄電池を使うケースと、山間部に築いた人工池に水を溜めておき、夜間にそれを流して電化する揚水方式だ。先述の黄河公司には、いずれの方式もある。
こうしてみると、中国がありとあらゆる発電のパターンを貪欲に試し、その多くが実を結んでいることがわかる。報道によれば2024年の段階で、中国において全設備容量に占める再生可能エネルギーの割合が50%を超えたという。
原発の発電規模でも「世界一」へ
電力は、中国が国益の視点から決して譲れない最重要分野である。
実は中国は、広大な国土を有しながらもエネルギーを輸入に頼らざるを得ない状況が長く続いた。戦後秩序を実質的に担ってきたアメリカを中心とする西側先進国とは、体制の違いなどから緊張関係にあった。そうした状態の中で、石油や天然ガスを海外に依存し続けなければならない状況には、常に不安がつきまとった。