2026年7月号掲載
恋愛と贅沢と資本主義
Original Title :Liebe, Luxus und Kapitalismus (1922年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2000年8月10日
- 定価1,760円
- ページ数361ページ
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著者紹介
概要
資本主義の原動力は、「恋愛」と「贅沢」である! マックス・ウェーバーと同時代を生きたドイツの経済史家は言う。ヨーロッパの王侯貴族や新興成金の贅沢の背景には、「愛妾」や「高等娼婦」の存在がある。そして、彼女らの消費が資本主義の発展をうながした、と。“奢侈”の効用、意味合いが、豊富な資料をもとに示される。
要約
愛の世俗化
中世の末期、重要な現象が生じた。それは、巨大な王侯の宮廷の誕生である。宮廷の先駆となったのは、多くの他の領域と同様、ここでも高位聖職者であった。
恐らくフランスのアヴィニヨンが、最初の近代的宮廷であったろう。なぜならこの宮廷に、その後の数世紀、宮廷社会と呼ばれるものを形づくり、それを構成する二群の人々が顔を揃えたからだ。
その一群は、宮廷の利益に奉仕する以外になんの職も持たない貴族たち、他の一群は美女たちだ。
両性関係の変化と近代資本主義
古い社会から新しい社会への動きにとって、中世からロココ時代にかけて生じた「両性関係の変化」よりも重要な出来事はない。特に近代資本主義の発生を理解することは、この最重要事の変化を正しく評価することと密接に結びついている。
愛情と恋愛関係についての考え方がどのように変化してきたかを知るには、2つの方法がある。1つは代表的な人物の発言、もう1つは実際に愛し合った人たちの行動から推し量ることである。
一口に発言といっても、多種多様である。愛を扱った論文や文学、造形芸術の中にあったりする。
自由恋愛の始まり
例えば、愛の本質についての根本的に違った考え方が、ミンネザンク(中世の恋歌)が起こった世紀に人々の間に浸透した。
11~12世紀、プロヴァンスで、初めて自由な恋愛の調べが吟遊詩人の歌の中に蘇った。その詩は近代的恋愛の萌芽であることを示している。恋人を天上にまつりあげ、一方、己は憔悴して呻き声をあげる青春期の性愛の表現である。
そして14世紀の末期になって初めて、婦人は裸の女として見られ、女体の美しさが発見されるようになった。ボッティチェリの『春』や『ヴィーナスの誕生』の絵の中に、女への愛や女性美への愛が凱歌をあげて登場した。
ラウレンティウス・ヴァラが「快楽についての論文」(1431年)で、こう述べている。
「美しい顔だち以上に、甘きもの、喜ばしきもの、愛すべきものがあるだろうか? 天国への入口も、こんなにすばらしくないことは確かだ」